——長回しで撮影中のハプニングがそのまま収められているところもあるとか。
鈴木:ナチュラルに出てくる、偶発的なことだったり、自然に出てくるトーンだったり、決めてなくて出てくることに対しては、全部受け止めてくださいました。オールOKなんですよ。
稲森:ホントにそうでした。
鈴木:ミスがあってもOKが出るんですよね。僕、長回しのシーンで掃除機のスイッチを入れちゃってるところがあって。伽耶さんが吐露してるところで、掃除機が鳴るっていう……。で、ちょっとだけ心の中で、これでNGだったら大変なことになるぞってビビッちゃってるみたいな。でも、それも含めて面白がってくださる監督で。だから、自由に演技できるというか。
稲森:自由だった(笑)。私も思い出しました。誠一郎(安藤政信)の家から帰ろうとするときにカバンがなくて、その場でくるくるくるくる回って探したりして。ハプニングも作品の一部になっていると思います。
鈴木:稲森さん、ホントにこけてるところがありますからね。
稲森:え? どこ?
鈴木:掃除機のところ。
稲森:あー! はい、ありました。
鈴木:ドライ(※カメラなしで行うリハーサルのこと)のときに、稲森さんがこけちゃって。それを生かすことになって、今度はこける芝居をしなきゃいけないから、難易度が上がっちゃうっていう(笑)。偶発的に出たことを生かしてお芝居を作っていくのは、けっこう楽しい作業でした。
役作りで意識したのは、「真面目」と稲森さん。「うまく立ち回れないのも、ピンチで変なことするのも、真面目さからきているから」