鎌倉駅からわずか5分の場所にありながら、門から丘の上にある館を仰ぎ見ると、そこには周囲の街並みとは全く違う空気が流れているかのようです。
広い芝生だった庭はくつろぎのテラスに。外国人居留地・横浜に近い鎌倉は古くからリゾート地として注目され、皇族や華族、富裕層たちの別荘として多くの西洋館が建てられましたが、中でも旧加賀藩前田家前田利為邸(現鎌倉文学館)、旧華頂宮邸と並んで三大西洋館と呼ばれたこのお屋敷は、三菱財閥の荘(しょう)家の別荘として建てられ、関東大震災後は政治の舞台になり、戦後、米軍に接収されたりした後、日本初のカーレーサー・古我信生氏の所有に。
長く非公開でしたが、2015年の春からレストランとして一般にも開かれたものとなりました。ジョサイア・コンドルの弟子で丸の内の「丸ビル」などを手がけた桜井小太郎が設計しています。
1階は両面使いの暖炉がある食堂と客間、サンルームだった部分が大きな1室に改造されているが、ホールや外観など往時の館の雰囲気は十分味わえる。結婚式の会場としても人気。大町正行シェフは「フレンチの基本技法をベースに和食材を織り交ぜた、四季が感じられるフランス料理」に腕を振るう。相模湾の天然魚、近隣農家の野菜や卵と厳選された新鮮な食材にもこだわっている。 Information
古我邸 (こがてい)
神奈川県鎌倉市扇ガ谷1-7-23
- (旧荘清次郎別邸) 竣工年:1916(大正5)年 竣工時の施主:三菱合資会社(後の三菱 財閥)専務理事・荘清次郎 設計者:桜井小太郎
「家庭画報」2015年10月号掲載。この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
※「土井善晴の美食探訪」(BS朝日)にて、こちらのお店を土井善晴先生が訪ねます!2019年4月8日(月)放送予定です。
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