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親の“お迎え”が近づいたとき、家族と医師で支える最終段階の過ごし方

2019.02.15

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お医者さまの取扱説明書 総合内科医の尾藤誠司先生に、患者と医師の良好コミュニケーション術を教わります。記事一覧はこちら>>
50代、60代は、親の人生の最終段階と向き合わざるをえない年代でもあります。いざというとき、意思疎通が難しくなった親に代わって、医療の受け方を医師と共に決めるのは家族の役目。方向性を誤らないために重要なのは、親の人生観を理解し、医師と共有することだと尾藤先生はいいます。

尾藤誠司先生

尾藤誠司先生
独立行政法人国立病院機構 東京医療センター 臨床研修科医長・臨床疫学研究室長

延命治療を受けるか否かより、親の人生観を聞くことが大事


人生の最終段階を迎える状況はさまざまですが、高齢になって体の機能が弱まり、徐々に自力での歩行や飲食、そして意思表示が難しくなるケースが増えています。この期間を医療と無関係に過ごす人は稀で、入院に至ることも少なくありません。

このときどこまで積極的に医療を行うかはとてもデリケートな問題です。本人と十分なコミュニケーションがとれない場合、医師は主に娘や息子など身近な家族と話し、本人の意思を確認しようとします。

家族はしばしば「親に延命治療を施すか」という難しい問題と向き合うことになり、本人がある程度しっかりしているうちに話をしておくことが重要になってきます。

「といっても、リビング・ウイル(生前遺言書)を作ったり具体的な医療行為について事前に確認しておくという意味ではありません。実際、胃ろうや人工呼吸器をどうするかと聞かれても、よくわからない人がほとんどでしょう。

大事なのは、本人が何を大切に生きてきたのか、これからどのような過ごし方を望むのかといった“人生観”を知ること。

その状況になったとき個々の医療行為をどこまで受けるかは、本人の人生観を尊重しながら家族と医師がフレキシブルに対応する、という考え方のほうが全体的な方向を見誤らないと思うのです」(尾藤誠司先生)

最近、ACP(アドバンス・ケア・プランニング。愛称は「人生会議」)という取り組みが提唱されています。

これは、重い病気になったり体の機能が落ちたときの過ごし方について、本人が尊重してほしいことや医療に何を期待するかなどを、家族と本人だけでなくかかりつけ医や介護スタッフなど医療や介護の専門家も加わって事前に話し合い、合意形成を行うものです。

ここでも、延命治療云々ではなく、本人の人生観を理解することに重点が置かれます。
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