プライバシー保護など課題も多いが、国を挙げてのIoMT化が進行中
一方で、IoMTを含むIoTには現状では多くの課題も指摘されています。
特に医療現場で心配されるのが、データ漏洩によるプライバシーの侵害です。そして、集めたデータが誰の所有になるのかという点も問題です。これには知的財産権がかかわるため、関係者間の調整が必要です。
多くのセンサーや電子機器の安全性や正確性が特に求められる医療の現場に合わせ、「第三者が機器やシステムを認証する制度も必要になるでしょう」と猪俣さん。
また、モノや人を結んで大量のデータを取ったとしても、使用目的や医療機器などの仕様に合わなければ、それらは使えません。
「AIが注目されていますが、ヘルスケア領域ではAIに使えるデータそのもの、そしてデータを扱うデータサイエンティストが不足しているのです」。また、センサーの組み込みやソフトの開発などの費用の負担も不透明です。
国は18年に「AIホスピタル」の実現のための研究開発計画を発表しました。このAIホスピタルでは、診断や治療、患者と医療者のコミュニケーション、またそれらの記録がAIとIoMTを含むIoT、ビッグデータによって支えられます。この計画では、22年度末までに10のモデル病院を作ることを目指しています。
人の体と自宅や介護施設の中・外、病院、企業、国や自治体などがつながり、医療や介護のデータを共有する時代がすぐそこに来ています。