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まだ間に合います。寒い京都の味といえば、ほかほかのかぶら蒸し

2019.02.27

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酒好きのための看板も見逃せない


古いお店だけに一平茶屋は料理のほかにも注目すべき点が多々あります。軒先に上がる看板には「天下御免無茶料理」の文字が。さて、これは?

一平茶屋 大村しげの記憶を辿って「天下御免無茶料理」の看板。足を運んだなら、こちらもぜひご覧ください。

「お客様からよく聞かれるんです。普茶料理(※)ってありますでしょ? あれに掛けた言葉です。初代店主の周りに書をたしなむ人がいらしたようで、同様のものがたくさん残っています」(店主)

※ふちゃりょうり。江戸前期に中国から伝わった精進料理

 

お酒好きならクスリと笑ってしまう文言の数々


次に店内の古めかしい2枚の看板に目をやれば「即身成仏」ならぬ「酔心成仏」、「極楽浄土」ならぬ「酒即浄土」と書かれています。現在は京料理のお店である一平茶屋は、かつては花街の宮川町に近いこともあり、お酒を楽しむためのお店でした。そんな時代のお酒好きの言葉遊びが感じられる看板も見どころと言えましょう。

一平茶屋 大村しげの記憶を辿って店内奥に「酔心成仏」、「酒即浄土」の看板が掛けられています。

一平茶屋では通年、かぶら蒸しを提供しています。11月から3月末頃までは京野菜の聖護院かぶらを使い、それ以外の時期は小蕪を使用。

「冬場の聖護院かぶらは寒くなるほど甘みを増し、その分おいしい。寒い時期は蒸すと、調理場に、ほかの季節にはない甘い匂いが漂うんですよ」と店主。

「人さんを案内するときも、かぶら蒸しがよろこんでもらえるのやないかしらん」(『美味しいもんばなし』)

立春を過ぎたとはいえ、まだまだ寒さの続く京都。こんな大村しげさんの言葉に案内されて、ほかほかのかぶら蒸しを味わえば、「京都の寒さも悪くない」と思えるかもしれません。

Information

一平茶屋(いっぺいちゃや)

京都府京都市東山区宮川筋1-219

TEL 075-561-4052
営業時間 12時~21時
定休日 木曜

http://www.eonet.ne.jp/~ippeizyaya/

    川田剛史/Tsuyoshi Kawata

    フリーライター
    京都生まれ、京都育ち。ファッション誌編集部勤務を経てフリーライターとなり、主にファッション、ライフスタイル分野で執筆を行う。近年は自身の故郷の文化、習慣を調べるなか、大村しげさんの記述にある名店・名所の現状調査、当時の関係者への聞き取りを始める。2年超の調査を経て、2018年2月に大村しげさんの功績の再評価を目的にしたwebサイトをスタートした。
    http://oomurashige.com/
    取材・文/川田剛史 撮影/舟田知史(トライアウト)
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