魔法の言葉「見るだけでもいいですか?」
――ショーウィンドウに飾られたきものや帯。近くで見てみたいなぁと思っても、初心者にとって呉服屋さんの戸を叩くのはなかなか敷居が高いこと。また、値段が見えなかったりすると、よりハードルが高く思えてしまいます…。
「そうですよね。やっぱり店構えを見たりすると気後れしてしまう方もいらっしゃいますよね。うちのお店では値札を出しているのですが、それは私が畑違いのコンピュータの会社にいたのもあって、値段を明確にしないと僕ら世代は絶対に買わないだろうなという思いからです。例えば、お寿司屋さんで値段が書いていなかったら怖いですもんね(笑)お店によっては、目立たないように小さく表示しているところもあるので、注意深く見てみるのもいいかもしれませんよ」(西川さん)
ディスプレイされた商品には、しっかりと値段の表記が。確かに、洋服を見ているとき「これ可愛いな」と思ったら値札をちらっと見ます。同じように、きものでも値段が明確に表示してあれば検討しやすいですよね。
――もし値段が書いていなかったら直接聞いてしまっていいのでしょうか?
「予算ありきのことですし、全然問題ないと思いますよ。金額だけでなく、知りたいことや疑問に思ったことなどは何でも聞いてみてください。例えば、似たような商品でこちらは数万円、もう一方は数十万円というものがあった時、その違いや理由をきちんと説明することはお客さまに対する責任だと思います」(西川さん)
細かな違いなど、説明がないとわからないことが多いので、こういった誠実な対応はとても有難いです。
――とは言っても、最初の一歩を踏み出すのは少し怖いもの。そう思っている方に、気軽にお店に入れるようなアドバイスをいただけませんか?
「外からお店の中が見えやすいお店の方が、最初は入りやすいかもしれませんね。そしてお店に入るとき、ひと言『見るだけでもいいですか?』と聞いてしまうのがいいと思います。そう伝えれば、きっと店員さんも察してくれるはずです。もし詳しく知りたいことがあれば、改めて質問をすればよいと思いますし」(西川さん)
「見るだけでもいいですか?」なんと便利な魔法の言葉でしょうか!私A子、この言葉をどんどん使っていきたいと思います!
呉服屋さんは「きもののプロ」。コーディネートの相談はもちろん、きものならではの決まり事やちょっとした疑問・悩みを相談できたり、知識や情報を教えてくれたりと、きもの人生の様々な手助けをしてくれる、とってもありがたい存在なのです。だから、初心者のうちに聞けることはどんどんと聞いてしまうのが得策かもしれませんよ!
Information
きもの工芸 大黒屋
東京都杉並区高円寺南4-7-9 高円寺パルアーケード内
アクセス | JR中央線・総武線「高円寺」駅より徒歩3分/地下鉄丸の内線「新高円寺」駅より徒歩10分 |
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TEL | 03(3311)4427 |
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営業時間 | 11時~19時 |
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定休日 | 火曜 |
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お話を伺った人 西川和晃(にしかわ かずあき)さん
昭和4年創業「きもの工芸 大黒屋」の三代目。きもの文化をより多くの方に伝えるべく、力を注いでいる。
新人きものライターE子&A子の 「イチから始めるきもの道」
構成・文/笹本絵里 中島敦子 ※この連載で取り上げて欲しい、皆さんの「いまさら聞けない」きものの基本&疑問をぜひ お聞かせください! 件名「イチから始めるきもの道」と明記し、メールにてお寄せください。 E-mail:k-salon@sekaibunka.co.jp