「自分が思い描く面白いことを、そろそろ形にしていきたい」―松田龍平
井上ひさしが、敬愛する宮沢賢治の半生を描いた『イーハトーボの劇列車』。
長塚圭史さんの演出で、2月からこまつ座で上演される本作品で、主演した連続ドラマ『獣になれない私たち』の根元役も好評だった松田龍平さんが、約5年ぶりに舞台に立つ。
「舞台は自分にとって特別なもの。これまで3度やらせてもらったんですが、公演が終わるといつも、もう当分やらなくていいんじゃないか、という気持ちになるんです。
それくらい体力を使うし、のめり込むし、毎回やりきった感があるから、簡単には受けられない。
でも今回、井上さんが書いた宮沢賢治の役を圭史さんの演出でやると聞いたとき、これは見事に揃ってしまったな、特別なタイミングが来たなと感じて。大変だろうなと思いつつ、台本を読まずに出演を決めました」
実は小学生の頃、賢治の詩『雨ニモマケズ』がとても好きだったという松田さん。
「きれいな額に入ったその詩が家にあったんです。それをこっそり自分の部屋に持っていって、飾っていました。
ほとんどカタカナで書かれているのも面白かったし、自分を犠牲にしてでも人のために尽くすなんて、すごく素敵だなと思いながらも、なかなかできないことだろうなと感じていた記憶があります。今改めて読むと、まさに宮沢賢治という人を象徴しているような詩だと思いますね」