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専門家が解説するジュエリーの歴史「女性のためのジュエリーが生まれるまで」

2017.09.07

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日本のジュエリー市場の浮き沈み


さて、日本の話をしましょう。
1965年前後、バブル経済のスタートと共に、日本の宝石市場は急速に拡大していきます。「大量に作り、大量に売る」、そうした商売の仕方で。そしてバブルがはじける前後1991年までは拡大の一途をたどり、日本のジュエリー市場規模は、ついに年商3兆円、女性1人当たりの購買額では世界一という数字を残しました。

しかし1991~2年頃から、市場は急速にしぼんでいきます。今では年商1兆円を切りますから、全盛期に比べて市場は3分の1になったのです。


そうした急激な市場の縮小の原因は、もちろんバブル経済がはじけたことにあるのですが、お客様がそれまで黙って買っていた「大量作り」のジュエリーに飽きてしまったことも理由の一つなのです。普通ならば、そこで業界は反省しますよね、こんな一様な商品じゃダメなのじゃないか、と。しかし不思議なことに、日本の宝石業界は、この時まったく反省しないで、ダメな商品をどうやって売るかを考えてしまった。その結果が、ホテルでの展示会とか、お食事つきの販売会とか、30、40回を超えるようなローン販売です。こんなやり方にはもちろん無理がありますから、その後ローンの規制がなされ、消費者契約法という、販売者を大きく規制する法律の制定にもつながりました。

「ジュエリーの展示会」は
日本ならではのお買い物システム?!


前述したようなジュエリーの販売方法は、実は日本特有のものです。世界に例を見ません。隣の韓国や中国でも、ジュエリーの展示会や外商、ローン販売なんてものはありません。これは日本人の業者が、切磋琢磨して発明したものなのです。こうした販売方法を発明しながら、一方で肝心のジュエリー商品については、まったく反省をしてこなかった。どのようなジュエリーが「良い」のかは、この連載できちんとご説明しますが、今、日本の市場に出回っているジュエリーのレベルは、悲しいかなとても「高い」とはいえません。

「美しいものを作る」ことよりも、「それでどう儲けるか」にしか関心を示してこなかったオヤジが、業界の中心にどーんといる、それが日本です。私が感じているこのような日本のジュエリー業界の問題点も、連載の中でお話ししていきましょう。




なにやら、女性の社会進出から、一気に日本市場の問題点まで来てしまいました。次回からはこうした条件と環境の中で、いかにして正しい店を、商品を、販売員を見つけるかという、この連載本来の目的「ジュエリーお買い物学」に戻りたいと思います。

第1回 ジュエリーの起源と歴史(古代~近代) を読む
第2回 ジュエリーの近代史、激動の100年 を読む
第3回 女性のためのジュエリーが誕生するまで を読む
第4回 日本のジュエリー市場の特異性 を読む

山口 遼/Ryo Yamaguchi

宝石・宝飾史研究家
大学卒業後ミキモトに入社。退社後はアンティーク・ジュエリーの研究と販売に従事。真珠および宝飾品史の専門家として、新聞や雑誌に数多く寄稿。ジュエリーに関する著書多数。
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