泉質と環境で温泉地を選ぶ
「温泉の効能はもともと経験に基づき伝承されてきたもので、科学的根拠に乏しいものも少なくありません。
しかし温泉医学の研究により、伝承されてきた効能の中には科学的評価に十分に堪えられるものもあり、自分のコンディションに合わせて泉質を選ぶことは健康づくりに役立つでしょう」と保﨑先生はアドバイスします。
さらに温泉水だけでなく、その土地の自然環境や旬の食べ物などを総合的に活用することで、「温泉地療法」のより高い効果が得られるといいます。
「すなわち健康づくりには栄養、運動、休養の三要素が欠かせず、そのすべてを兼ね備えていたのが“湯治”なのです。我々の先祖は経験的に三要素を実行し、ストレスから解放されて心身の健康を取り戻していたのです」
昔の日本人は約1か月で湯治を切り上げていましたが、これにも科学的な裏づけがあります。
「温泉地療法で受けるさまざまな刺激によって体には生体機能リズムを整える作用が起こりますが、温泉地に滞在して3〜4週間を過ぎると体が慣れて刺激に反応しなくなり、この作用が失われることがわかっています」と保﨑先生は説明します。
日本には現在、3000余りの温泉があります。まずは泉質と環境で選んで、3泊4日、定期的な湯治を健康促進のために実践しましょう。