温泉の泉質10種類と特徴・効用
泉質1「単純温泉」特徴・効用:肌への刺激が少なく、湯あたりしにくい。アルカリ性単純温泉は肌をすべすべにする。
主な温泉地:別府温泉、下呂温泉、道後温泉、湯の川温泉 など
泉質2「塩化物泉」特徴・効用:「熱の湯」といわれ、保温効果がある。全身の血行がよくなり、神経痛、筋肉痛、関節痛などの疼痛緩和に有効。
主な温泉地:熱海温泉、片山津温泉、和倉温泉、指宿温泉 など
泉質3「炭酸水素塩泉」特徴・効用:無色透明でお湯の肌触りがよく、清涼感に満ちた湯上がりが楽しめる。美肌効果もある。
主な温泉地:龍神温泉、川湯温泉、小谷温泉、嬉野温泉 など
泉質4「硫酸塩泉」特徴・効用:保温効果があり、全身の血行がよくなり新陳代謝が高まることから「美肌の湯」といわれる温泉もある。
主な温泉地:川中温泉、法師温泉、天城湯ヶ島温泉、玉造温泉 など
泉質5「二酸化炭素泉」特徴・効用:細かい泡が出ることから「泡の湯」といわれる。二酸化炭素が皮膚から浸透し血圧を下げて血行をよくする。
主な温泉地:長湯温泉、黄金温泉、妙見温泉 など
泉質6「含鉄泉」特徴・効用:空気に触れると酸化して茶褐色になる。理論上は飲用すれば鉄分の補給になり、鉄欠乏性貧血に有効である。
主な温泉地:有馬温泉、鉄輪温泉、火打崎温泉 など
泉質7「酸性泉」特徴・効用:入湯するとピリピリして刺激がある。殺菌作用が高いが、肌の弱い人は酸性泉浴湯皮膚炎を起こしやすい。
主な温泉地:玉川温泉、酸ヶ湯温泉、草津温泉、明礬温泉 など
泉質8「含よう素泉」特徴・効用:茶褐色をしているが、次第に黄色くなる。血管壁を柔らかくする作用があり、関節炎などに効果がある。
主な温泉地:前野原温泉、晩成温泉、白子温泉 など
泉質9「硫黄泉」特徴・効用:硫化水素ガス特有の腐った卵のようなにおい。沈殿物は「湯の華」として活用可能。殺菌作用、血管拡張作用。
主な温泉地:日光湯元温泉、月岡温泉 など
泉質10「放射能泉」特徴・効用:ラドンを含む温泉で、ラジウム泉とも呼ばれる。微量の放射線が刺激となり、免疫力を高めるといわれている。
主な温泉地:村杉温泉、三朝温泉、増富温泉 など
※参考:『新温泉医学』日本温泉気候物理医学会編、日本温泉協会資料など保崎泰弘先生
岡山大学医学部卒業。専門は内科学(消化器病、肝臓病、糖尿病)。岡山大学病院三朝医療センターで温泉医学の臨床と研究にも約14年間従事。日本温泉気候物理医学会評議員。 撮影/鍋島徳恭 取材・文/渡辺千鶴
「家庭画報」2019年4月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。