アプリ開発の継続や治療の変化への対応が課題
アプリは、スマートフォンなどのオペレーションシステムのアップデイトに合わせて開発し続けないと使えなくなることがあります。そのためにアプリには開発費が継続してかかります。
また一方で、治療が進歩すると、新しい治療法の副作用をフォローしたり、ほかに測定すべき重要な生体情報を追加したりする必要が出てくる場合があります。
上田さんは「すべての病気を網羅するアプリ、あるいは1つの病気のすべての症状や副作用を記録できるアプリの実現は難しいと思います。目的を明確にしたアプリを開発し、それぞれを連携できるようにするというのが現実的な解決法でしょう」と話します。
アプリの開発やその継続とともに必要なのが対応する医療スタッフです。アプリができて1年目は上田さんのみが患者に対応していましたが、18年度からは支持療法(副作用の軽減)に詳しい医師と薬剤師が有志として加わり、3名で対応しています。
そして、患者への対応は勤務時間内とし、時間外は緊急以外の対応をしないといったルールを決めています。
「治療支援アプリができると仕事が増えると考える医療者も少なくありませんが、私の実感では、かえって患者さんとのやりとりが楽になっています。
ただ、医療機関ごとに対応できるスタッフの数や職種は異なるでしょう。まずは埼玉医大モデルを作りながら、『フリックカルテ』をがん種を問わないオープンなアプリにすることを目指します」と上田さんは抱負を語っています。