日本が誇る伝統工芸に携わるかたがたとともに製作した、現代の暮らしを豊かに彩る家庭画報オリジナルの逸品をご紹介します。
撮影／本誌・鈴木一彦
中国大陸から日本に渡ってきた組紐は、古来服飾や武芸、宗教など多くの分野で使われてきました。 今回、組紐の美しさを生かして食卓を華やかにしてくれるマットとナプキンリングができ上がりました。
マットは、八つ組みと呼ばれる組み方の丸い組紐を使い、紐を装飾的に結ぶ「飾り結び」の伝統的な形をもとに作られています。 ナプキンリングには、角杉という組み方を使用。愛らしい花のような形のモチーフは「相生結び」というおめでたい意味を持つ飾り結びで、祝いの席にもふさわしい意匠です。
白磁に銀彩を施した茶器には淡い色調のベージュを合わせて。絹の柔らかい光沢が銀器やガラス器にも映える。
日本茶にはシックなボルドーを。ナプキンリングは小ぶりなティーナプキンにも使える大きさ。
「和のコーディネートはもちろん、洋食器にも合いますし、中国茶の茶器に合わせるのもおすすめ。直径約14センチのマットは、茶托にもティーポットの敷物にも、あるいは器同士の間に敷くこともできる大きさ。和洋中に使える品がある飽きのこないデザインに、コーディネートの幅が広がります」と話すのは、一緒に考案してくださったインテリアスタイリストの横瀬多美保さん。組紐の新たな楽しみ方が、ここに生まれました。
一緒に考えてくださったかた
横瀬多美保（よこせ・たみほ）さん『家庭画報』をはじめとする女性誌や書籍、百貨店のディスプレイなど多くのスタイリングに携わる。和洋のエッセンスを織り交ぜたモダンでエレガントなスタイリングに定評がある。
写真／鍋島徳恭古より続く組紐の美が今の暮らしを彩る 
器と器の間にマットを敷くことで、コーディネートに華やかさが生まれ、器同士が当たる音を防ぐこともできる。
組紐の歴史は古く、飛鳥・奈良時代の仏教伝来とともに、仏具の飾り紐として使われて渡来したのが現在の形の起源ともいわれています。平安時代に入ると貴族の礼服や冠の装飾に取り入れられ、雅な王朝文化の繁栄とともに、組紐の技術・美意識も日本独自の発展を遂げました。その後武士の時代を迎えると、兜や甲冑など武具への使用が盛んになるほか、茶道でも用いられるようになります。現在のように帯締めとして使用されるようになったのは江戸時代のことといわれています。
このように多様な場面で必要とされてきた組紐は、高台や丸台と呼ばれる木でできた台と糸、そして人の手だけで複雑で精巧な文様を組み上げ、その美を高めてきました。現在では、組み方だけでも数十種類以上あるといわれています。色とりどりに染めた正絹の束を何束も使い、何百、何千回と繰り返される手順を経て少しずつでき上がっていくその美しさは、まさに“構造の美”といえるものでしょう。
糸の色と組み方の組み合わせ次第で、組紐の美は無限に広がる。古の貴人たちが競って贅を尽くしたのも頷ける。
高台と呼ばれる組み台では、数十から、多い場合には100を超える糸の束を操って複雑な模様ができ上がっていく。
組紐とともに発展してきた“結び”には、100種類以上の形があるともいわれている。今回のマットも「相生結び」が由来。
今回ご協力いただいたかた
昇苑くみひも伝統的な商品のほか、アクセサリーなど、組紐の新たな可能性を追求する専門店。
京都府宇治市宇治妙楽146
TEL：0774-23-5510
家庭画報×京組紐 マット＆ナプキンリングのご購入方法
「マット」各8000円（税、送料別）。
「ナプキンリング」各2000円（税、送料別）。
ともに3色。写真左からボルドー、ベージュ、モスグリーン。
購入をご希望のかたは、「昇苑くみひも」に直接ご注文ください。ご注文は、「昇苑くみひも」のオンラインショップ、メール、またはFAXのいずれかにてお願いいたします。
オンラインショップ
URL：
http://www.showen.co.jpE-mail：
info@showen.co.jpFAX：0774（24）2335
※ご注文が確定してから製作するため、商品のお届けにはお時間がかかります。
『家庭画報』 2017年2月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
