ほくほくの旬のたけのこを炊き込んだご飯は、春のごちそう。土鍋のフタを開けると、湯気とともにさわやかな香りが立ち上り、なんとも幸せな気分にしてくれます。春分の日である本日は、「分とく山」総料理長・野﨑洋光さんによるレシピをお届けしましょう。たけのこは手軽な市販のゆでたけのこでもいいですが、アク抜きの仕方もお伝えします。
たけのこのアクを抜くとき、米ぬかと唐辛子を入れた湯でゆでるのが一般的ですが、たけのこのフレッシュ感が損なわれるのが難点。そこで野﨑さんが考えたのが“ゆでるより簡単で、たけのこ本来の風味も味わえる”方法。基本的に大根おろしの絞り汁を同量の水で割り、塩分濃度1%にした中に浸けるだけ。生に近い味や食感が楽しめます。
また本レシピでは、材料を入れた鍋を強火にかけますが、薄手の鍋で炊くときは、最初は強火でなく弱めの中火にし、だいたい7分ぐらいで沸騰するようにしてください。仕上げに、木の芽を散らして彩りと香りを加え、全体をさっくりと混ぜて召し上がれ。『野﨑洋光 春夏秋冬の献立帳』より。
【材料 作りやすい分量】
・米 3合(540cc)
・たけのこ 1本(150g)
・油揚げ 1枚
・炊き地 [水 450cc/薄口醤油、酒 各45cc]
・木の芽 適量
■たけのこのアク抜き
・大根おろしの絞り汁、水 各200cc
・塩 4g
【作り方】
1:たけのこは皮をむき、根元の堅い部分を切り落とし、一口大に切る。
2:アクを抜く。ボウルに大根おろしの絞り汁、水、塩を入れて混ぜ、切ったたけのこを1~3時間浸ける(写真)。大根おろしの汁に全体が浸っていることが重要。分量をすべて半分にして、たけのこの上にペーパータオルをかけてもOK。浸け終わったら、たけのこを水にさらし、水から火にかけ、沸いたら弱火で3分ゆで、水にとって水気をきる。
3:米は洗って水適量(分量外)に15分浸し、ざるに上げて15分おく。
4:油揚げは熱湯に浸して油抜きし、水気を絞り、フードプロセッサーで細かくする(刻んでもよい)。
5:土鍋に3、4、2、炊き地の材料を入れ、ふたをして強火にかける。約7分経って沸騰したらふたを開けてさっとかき混ぜ、ふたをし、中火にして7分加熱する。
6:弱火にして7分加熱する。さらにごく弱火にし、5分加熱し、火を止めて5分蒸らし、木の芽を散らす。全体をさっくりと混ぜる。
家庭料理の基本は栄養バランスのよい献立。でも「献立が立てられない」という悩みを持つかたが多いのも事実。その悩みに応えるべく、人気料理人・野﨑洋光さんが季節の食材を生かした49の献立をご紹介します。春夏秋冬の単品料理も合わせて計266レシピ掲載する、季節の家庭料理決定版です。段取りのタイムスケジュール表や、「作りおきできる」マーク、作り方のポイントに黄マーカーを引くなど、作りやすい工夫も満載です。
野﨑洋光・幕内秀夫(著)
定価:本体1,800円+税
撮影/髙橋栄一、南雲保夫、三木麻奈、湯淺哲夫