オーラを放つ時代の主役たち 第3回(全5回)いつまでも見つめていたい表情、ずっと聞いていたくなるその声。時代に愛される人の格別な魅力を篠山紀信さんの撮影する「写真」に切り取って。トップブランドの新作を颯爽と着こなし、いちだんと輝く6人のオーラを、素顔が垣間見えるインタビューとともにお届けします。
前回の記事はこちら>> 若草色のドレスを翻し天女のように舞い上がると、真冬のスタジオに一足早く春が訪れました。
「昨日、30センチ以上髪をばっさりカット。以前から興味があった、ヘアドネーションをしてきました」
グンと軽くなった髪と楽しげに戯れる二階堂ふみさんは若手女優のホープ。NHK大河ドラマ『西郷どん』で演じた愛加那(あいかな)という切ない役どころから、最新出演映画『翔んで埼玉』で発揮したコメディエンヌぶりまで、七色の輝きを放つ瑞々しい感性の源を追いました。
Stella McCartney
サテンドレスは、サステナブルなファッションを牽引するステラ マッカートニーの新作。「7年前にカメラを始めて表現方法が広がりました。撮る側になりわかったのは、被写体は気を抜いているほうがいい顔をしているということ。今日の私みたいに(笑)。この撮影で知らない自分に会えそう」。
ドレス22万6000円/ステラ マッカートニー(ステラ マッカートニー カスタマーサービス) ピアス/スタイリスト私物「まずは素直に演じてみる。少しだけ役者として進化できたかなと感じています」
気さくな笑顔で1人、スタジオに現れた二階堂ふみさん。公開中の映画『翔んで埼玉』をはじめ、太宰治原作の『人間失格』、稲垣吾郎さんと共演した手塚治虫作品『ばるぼら』と、今年も出演作が目白押しという若手きっての実力派女優は、意外なほど自然体で親しみやすい人柄を窺わせます。
「実はここ数年、お芝居するのが怖くなっていました。駆け出しの頃は体当たりで素直に演じていたんですが、現場に行くのが当たり前になるにつれて、気持ちが追いつかなくても涙を流そうとしたり、上手なお芝居をしようとするようになっていて。それに気づいたときに愕然としました。自分を信用できなくなってしまったんです」
まっすぐだった演技の道はいつしか複雑になり、迷路に迷い込んでいたといいます。その救いとなったのが『西郷どん』でした。明治維新という激動期を生きた西郷隆盛を、奄美大島から健気に支えた2番目の妻・愛加那。彼女を“大河”という壮大なドラマで演じた経験は、二階堂さんの役者としての生き方を変えた、と語ります。
「奄美の皆さんの思い、大勢の制作スタッフさんの思い、そして鈴木亮平さん演じる西郷隆盛の思いを肌で感じながら演じたことで、愛加那は自分一人で作っているんじゃない、みんなで作っているんだということを実感しました。それからは、自分が与えられた課題を、素直に演じてみようという気持ちになれたんです。
以前はできないときにできないと言えなくて、できるふりをすることもありましたが、今考えると恥ずかしいですね。できないと言えるようになった今は、役者として新たなステージに進めたかなと感じています」