他人のためのお洒落から
自分ためのお洒落へ
私自身、モノを買うことで自分に向き合うことから逃げてきた40代を経て、50歳の声を聞いた頃、徐々にモノを買わなくなりました。
それは、自分はもう若くはない、おばさんでもいいじゃない、と認めることができるようになったから。正確には、認めざるを得なくなった、と言うべきかもしれません。
40代後半は、人にどう思われるかという表面的な理由から、自分のためのお洒落にシフトしていった過渡期だったと思います。50歳になると、長い“迷い”のトンネルをすこんと抜け、それからは、急にお洒落が楽しく感じられるようになりました。
これまで生きてきて思うのは、お金、結婚、子育て、仕事など、個人の事情はそれぞれ違っても、人として感じる迷いは似ているところがあって、ある意味普遍的なんじゃないかということ。
だから大丈夫、生活に追われて、服どころじゃない時期があってもいい。手当たり次第モノを買い漁る時期があってもいい。迷っていいんです! その“迷い”があるからこそ、悩んで自分なりの答えを見つけ出し、変わっていけるのですから。
ファッションだけではなく、人生を含めて素敵だよね、格好いいよね、と言われる女性になりたい――今は、それが私の目指す女性像。これからの人生では、「その服、素敵ね」という言葉は「あなたの生き方って、素敵ね」というのと同じ意味。お洒落は生き様そのもの。だから、お洒落って幾つになっても挑戦しがいがあるし、最高に楽しいんだと思います。
どうか、たくさん迷ってください。その“迷い”は、必ずいつか力になります。これから先、皆さまが、お洒落を、そして人生をもっともっと楽しんでいけますように!
●迷い世代の服選び…「最近何を着ても似合わない」と悩む“ファッション迷い世代”の女性に向けて、雑誌『家庭画報』で活躍するスタイリストのおおさわ千春さんが、誰でも実践できる服選びのルールとポイントをお届けします。
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おおさわ千春/Chiharu Osawa
スタイリスト
雑誌のほか、映画の衣装デザインや女優のスタイリングなどを幅広く手掛ける。着る人に合わせた的確なスタイリングやアドバイスは、多くの女優からも信頼を得ている。
イラスト/大橋美由紀 編集協力/湯澤実和子