リアルとナチュラルを求めたのは、「それはないわ」にしたくないから
大九監督に応えながら、タカコを「どれだけリアルに表現できるか。“それはないわ”っていうことにはしたくないと思ったので、なるべくナチュラルに」演じることを心がけていたという黒川さん。原作を読んで黒川さんが面白いと思った、リアルな女子同士の会話は劇中でも重要なシーンになっていますが、タカコとケイコが2人でしゃべる場面はほとんどが長回しで撮られたこともあり、「テンションが上がっていく過程だったり、しぐさだったりが自然」に演じられたそうです。
タカコとケイコの会話と同様に、印象に残るところがもう一つ。食事をするタカコの表情です。婚活サイトの男性会員と会って食べるハンバーガー、一人で食べるお寿司。言葉はなくてもタカコの心情が伝わってきます。
「私、自分がどんな顔をして映っているのか、あまりわかっていないんです。気持ちしか考えてなくて。ハンバーガーのときは、婚活しはじめですぐ壁にぶつかって、現実ってこんななのかな、みたいな戸惑いのセリフを頭の中で勝手にぐるぐる回しながら食べてただけ。お寿司は、自分をあまり持っていないタカコが、“自分”にちょっと気づいて、きっとこれでいいんだ、とかそういう気持ちで。そうしたらあの顔になってたんですよね(笑)」
「お寿司屋さんのシーンは監督もかなりこだわっていたので、何回か撮りました。すごく微妙なさじ加減をされていたんだと思います」