世の中にたえて桜のなかりせば
春の心はのどけからまし
(『古今和歌集』在原業平)東京はソメイヨシノの花を見送った頃ですが、桜前線の北上を告げるニュースやお花見の話題など、まだまだ現代の世の中は桜で大忙しです。在原業平はよくぞ桜に翻弄される日本人の性を風雅に詠んだものです。
書籍『一色采子のきものスタイルBOOK 母のタンス、娘のセンス』の発売から数週間、私のもとへたくさんの反響が届いています。web連載を応援してくださった皆さま本当にありがとうございました。今までの内容は一冊にまとまったものの、母の箪笥には、まだ紹介しきれていないきものや帯が数えきれず……。そこで、これまでお届けしてきた番外編の続きで、私の日々のきものライフを月に一度紹介させていただきます。
花びらがリズミカルに舞う
鮫小紋でサイン会初日へ
日本橋髙島屋で行われた「東西名匠老舗の会」で、3月2日・3日と2日間にわたり書籍の先行発売とサイン会をさせていただきました。初日の装いは透明感のある薄墨色の鮫小紋に絞りの技法で薄紅色の花びらを散らした一枚。
白×金の市松柄を織りだした袋帯に、愛嬌たっぷりの三毛猫の帯留めをお洒落のアクセントに。三分紐にもソメイヨシノの花びらのような淡いピンクを、もちろん帯揚げもピンク! 桜を心待ちにする気持ちを小物で効かせました。
京都の祗園にある「かづら清老舗」で求めた象牙の帯留め。母もこちらのお店が大好きで、京都へ行くと必ず訪れます。