優れた表現力とよく通る声、キレのある動きで、様々な舞台で活躍。チャーミングな人柄と笑顔も魅力だ。早く退院したい患者のアフリカ系青年クリストファーと、退院の延期を訴える研修医ブルースと、病院の運営を優先して延期に反対する上司のロバート医師。診察を続行したブルースが、器に盛られたオレンジの色をクリストファーに尋ねると、彼は「青い」と答えた……。
ロンドンの精神病院を舞台に、立場の違う3人のやり取りを通して様々な問題をスリリングに描き出す傑作会話劇『BLUE/ORANGE』。2010年の日本初演で高い評価を受け、いまや舞台を中心に大活躍している成河(ソンハ)さんが、初演とは違う役で同作品の再演に挑みます。その心境と素顔に迫りました!
――約9年ぶりの再演ですね。「はい、ようやく念願が叶います。初演が終わった直後から、絶対にまたやろうと(中嶋)しゅうさんと話していたんです。そのしゅうさんが亡くなって(2017年7月に急逝)、この企画も一瞬宙に浮いてしまったんですが、こうして再演できることになって本当に嬉しいです」
――初演時は、公演の企画者でもあった中嶋しゅうさんがロバート医師、演出も務めた千葉哲也さんが研修医ブルース、成河さんが患者のクリストファーを演じました。今回は千葉さんがロバート、成河さんがブルース、新たに加わる章平さんがクリストファー役。新たな配役での再演案は、いつ頃からあったのですか?「僕がたまたま『テイク・ミー・アウト 2018』という舞台を観に行って、ドーンとした存在感を放つ章平くんに出会ってからです。低い声とごついガタイと堂々とした演技にすっかりヤラれて、すぐにプロデューサーさんに、章平くんのクリストファーはどうだろう?と提案させていただいたんです。初演では小柄な僕が演じましたけど、台本的には大柄で一見近寄り難い雰囲気を持った人のほうが、クリストファーには適している。そこから、このバランスだったら上演できるかもね、という流れになっていって」