ケロイドの90%は手術で切除しなくても治せる
「ケロイドは治ります。どんなにひどい状態でも長年患っているものでも必ずよくなります」と小川先生はいいきります。
不治の病が確実に治せる病気になったのはケロイドの診断と治療法が確立されたからです。小川先生が代表理事を務める瘢痕・ケロイド治療研究会では、その成果となる『ケロイド・肥厚性瘢痕 診断・治療指針 2018』を昨年7月に出版しました。
さらに、ケロイドによく効く薬剤が見つかったことで、ケロイドの90パーセントは手術で切除しなくても治せるようになりました。
「その薬剤とは抗炎症剤のステロイドテープ『エクラープラスター』(商品名)です。それまで効果の弱いテープが主に使われていましたが、『エクラープラスター』がケロイドの炎症反応も抑える強い薬効があることがわかり、治療の主流となっています」。
小川先生によるとステロイド内服薬とは異なり、局所作用となるため副作用を心配することなく使えるそうです。
また、傷がひっぱられることで炎症反応が強くなることもケロイドが悪化する一因です。そのため、治療では傷をできるだけ動かさないようにする工夫も必要です。
「痛みがある場合もステロイドテープを1~2か月続けるだけで半減することが多いです。即効性があるからといってむやみに注射は行わず、薬物療法を中心とした“痛くない治療”から始めます。注射をするのは痛みやかゆみが強いときで、できるだけ痛みの少ない打ち方にして患者さんの苦痛を減らします」と小川先生は薬物療法が治療の基本となることを示したうえで、ほかの治療との組み合わせについて説明します。
ケロイド・肥厚性瘢痕の治療法