薬物療法をベースに注射、レーザー、手術、リハビリメイクを組み合わせて頑固なケロイドも治し、患者のQOLを高める
レーザー治療は主に貼り薬などによる治療で赤みだけが残っているとき、凹凸のある傷が治って最後に表面をなめらかにしたいときなどに使用します。
治療全体の10%まで減った手術はケロイドを早く治したほうが患者のQOL(生活の質)が高まると判断した場合に行われます。
「即効性の観点からいえば手術に勝るものはありません。膿が出るケロイドや、何年もかけて肥大したケロイドは大きくて厚みもあるため手術で取り除いたほうが短期間で治ります。また、顔など目立つ場所にできて見た目が気になるとき、関節など機能的に支障をきたす場所にできたときも手術の適応です」。
術後は再発予防のために放射線治療を行うこともあります。「手術の場合にかぎらず、ケロイドを再発させないためには炎症反応を抑えることが重要です。すなわち傷がひっぱられないように安静にすること、炎症反応が強くなりそうなときはステロイドテープなどをこまめに使うことです」と小川先生はアドバイスします。
絶望している患者の気持ちに寄り添いリハビリメイクなどで心の再生も図る
小川先生をはじめケロイド外来のスタッフが何よりも大事にしているのが心のケアです。
「治らないといわれて絶望している患者さんに希望を持ってもらえるよう、治療によってケロイドが改善した皮膚の写真を最初にお見せしています」と小川先生はいいます。
また、治療中、フェイシャルセラピストがケロイドをメイクアップで隠すリハビリメイクの方法を教えることもあります。これもメンタルセラピーの一環で、隠すことに主眼を置かず、メイクアップを通して自分の外観を受容し、QOLを高めることを目的としています。
開腹手術を受ける前に予防法を知ることも大切に
「命にかかわる病気ではないものの、患者さんが受ける精神的苦痛は計り知れません。治療を始めるのが早ければ早いほど、ケロイドは早くよくなります。また、ケロイド体質の人は開腹手術を受ける前に予防法を知っておくことが大切です。一人で悩まず、気軽に相談してください」