「ひと目見て、誰もが宇宙を思い、美しいと感じる、宝石のようなお茶碗です」―千 宗屋さん
見込みを真上から覗き込み、そっと光を当てると果てのない宇宙のような景色が広がった。
鼈口(すっぽんぐち)と呼ばれる口縁のくびれは、天目茶碗の特徴。安定のために添えられた天目台は螺鈿(らでん)で、のちに組み合わせたものといわれている。
見込みには、色とりどりの無数の斑紋とともに、長年の使用痕とみられる傷跡も。
武者小路千家 第15代家元後嗣
千 宗屋さん1975年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業。同大学大学院前期博士課程修了(中世日本絵画史)。2003年次期家元として後嗣号「宗屋」を襲名。同年大徳寺にて得度。隨縁斎の斎号を受ける。
撮影/小野祐次 構成・文/安藤菜穂子
「家庭画報」2019年5月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。