ベイサイドに昨年オープンした「Restaurant Sola」。オープンキッチンの活気は客席からもダイレクトに感じられる。Restaurant Sola(築港本町)―吉武広樹さん
「魅力ある街は、水辺にも活気がある。ここ博多港もそんな場所にできれば」
サーブされるたびに口をつく「おいしい!」、そして食べ終わったとき、こぼれ落ちるのは「ああ、楽しかった」という言葉。「ソラ」は“新しい体験”が楽しめるレストランです。
博多湾に面した複合施設「ベイサイドプレイス博多」内に、フランスのミシュラン一つ星を獲得した吉武広樹さんが自店をオープンしたのは昨年12月。閑散としていた施設にこの店ができたことは、地元・福岡にとって“事件”でした。
「パリならセーヌ川沿いやサンマルタン運河沿いというように、魅力ある都市では水辺に人が集まります。福岡にもそんな場所を作りたくて」と吉武さん。
いちごとチョコレートのアイス、ムース オ ショコラのメレンゲ、クレームシャンティを合わせたデザート。チョコレートはフェアトレードのアマゾンカカオを。藁であぶった鯖にビーツとレフォールのクリーム、とんぶりを合わせて。世界を旅した吉武さんが作る料理は、実に自由でエキサイティング。福岡・糸島産の野菜や地元の魚に、フランス産のきのこを合わせたり、わさびやナンプラーを用いたりと、国境も文化も超えた食材や調味料が幸せに融合したものばかり。
いずれもひと皿に幾通りもの香りと食感が潜んでいて、食べ進むうちに嬉しい驚きに出合えます。
「今後は施設内にワインバーやテイクアウトの店も作りたい。毎日島から船が着くのでマルシェもいいですね」。
ここだけでなく、福岡という街にも“新しい価値”をもたらす可能性を大いに秘めた「ソラ」。飛行機に飛び乗って訪れたくなる至福の時間がここにあります。
小さなヤリイカを薪で焼き、下足と墨、レモンたっぷりのソースで。約1か月ねかせた糸島豚・肩ロースのロースト。骨を使ったソース、キンカンのマスタード、カリフラワーとパルメザンチーズのソースを添えて。吉武広樹(よしたけ・ひろき)さん佐賀県伊万里市出身の38歳。東京「ラ・ロシェル」、「ル・ピラート」を経て、1年半をかけて世界40か国近くを巡る料理の旅へ。
2011年パリに「Sola」をオープン。開店から1年3か月でミシュラン1つ星を獲得。このたび日本にも拠点を築き、さらなる注目を集めている。
Information
Restaurant Sola
福岡市博多区築港本町13‒6 ベイサイドプレイス博多埠頭C館2階
表示価格はすべて税抜きです。
撮影/本誌・坂本正行 取材・文/中野智恵〈Fe〉 取材協力/九州観光推進機構
※ご紹介した料理の献立は、仕入れの都合で食材や内容が変更になる場合があります。また、別途サービス料等がかかる場合があります。
「家庭画報」2019年5月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。