「おいしい福岡」最新案内 第4回(全9回) わざわざ訪ねたい味がある。福岡は今、上質なものを求める外国人観光客が急増し、世界中から注目を集めています。また、“本物を伝えたい”と帰福した料理人が活躍したり、女性が気軽に楽しみやすい名物料理のお店も進化中。最新の美味をご案内します。 前回の記事は
こちらから。
スペシャリテである「九州の大地」。故郷・佐賀県太良町で手作りする生ハムや嬉野茶をはじめ、120種にもおよぶ野菜、ハーブはすべて九州のもの。「9時間かけて私一人で仕込む、最も思い入れの深い料理。ミシェル・ブラスで学んだ料理のオマージュ的作品です」と小岸さん。オーグードゥジュール メルヴェイユ 博多(博多駅)―小岸明寛さん
「土地の息吹を感じるフレンチを、生産者に近い場所で表現したい」
「『若者よ故郷へ帰れ。そしてその街の市場に行き、その街の人のために料理を作りなさい』。偉大なるフランス料理人フェルナン・ポワンの言葉は私の座右の銘です。故郷で料理を作るようになり、改めてこの言葉を嚙み締めています」と話すのは小岸明寛さん。
ロブション、デュカス、ガニェール……誰もが知る巨匠たちから薫陶を受けた小岸さんにとって、料理人としての方向性を決定づけたのはミシェル・ブラスとの出会いでした。
フランス中南部、オーブラック地方で、ありのままの自然から創作される料理は、留学当時、フランスにあるすべての三つ星レストランを食べ歩いた小岸さんにとって非常に衝撃的だったといいます。
「“料理は自然の中に生まれる”というブラスシェフの信念は、佐賀の自然に囲まれて育った私にとってストンと腑に落ちるものがありました」。
手前は「長崎のアラのバブル」。泡を模した器は佐賀・嬉野で同級生が携わる「224porcelain」のもの。奥は「長崎の伊勢海老 シャガール風」。フランスや東京、北海道で研鑽を積んだ後の今、故郷に近いこの地で、“自然の中に生まれる料理”を自分なりに表現しています。
「ここは食材の生産地に近いのが強みです。生産者や食材のプロと綿密にコミュニケーションを取り、土地の息吹を感じられる料理を日々追求しています」。
奮闘とともに料理も進化し、着々とファンを増やしています。
博多駅に直結するビル内の賑やかなフロアにあるが、店内は一転して落ち着いた雰囲気。駅直結ゆえにアクセスの良さは抜群。小岸明寛(こぎし・あきひろ)さん佐賀県太良町出身の39歳。東京「タイユヴァン・ロブション」を経てフランス「プラザアテネ」、「ピエール・ガニェール」、「ミシェル・ブラス」など、名だたるシェフのもとで技術を磨く。
2013年、日本における若手料理人の登竜門「RED U-35」で準グランプリに輝く。次世代の日本のフランス料理界を担う一人として期待が寄せられている。
Information
オーグードゥジュール メルヴェイユ 博多
福岡市博多区博多駅中央街1-1 JR博多シティ アミュプラザ博多9階
TEL | 092(413)5301 |
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営業時間 | 11時〜13時30分(LO)、18時〜20時(LO) |
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定休日 | 無休(ビルの定休日に準ずる) |
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- 要予約 ランチ3800円〜、ディナー5800円〜(平日)、9000円〜。
表示価格はすべて税抜きです。
撮影/本誌・坂本正行 取材協力/九州観光推進機構
※ご紹介した料理の献立は、仕入れの都合で食材や内容が変更になる場合があります。また、別途サービス料等がかかる場合があります。
「家庭画報」2019年5月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。