免疫チェックポイントとは?
〜免疫が暴走しないよう、T細胞にブレーキをかける“門番”として働く分子。がんはその免疫抑制作用を悪用します〜
私たちの体内では遺伝子異常の蓄積によりがん細胞ができて、それを免疫が排除しています。
一方で、免疫はその作用が過剰になると、自らの体を攻撃することがあります。例えば、自己免疫疾患やアレルギーは、免疫が過剰になる病気です。
そこで、免疫細胞には、免疫にブレーキをかけるさまざまな仕組みが備わっています。
その仕組みのうちの一つとして解明が進み、その機能をコントロールする薬の開発が行われているのが「免疫チェックポイント分子」で、PD-1(programmed celldeath 1)やCTLA-4(cytotoxic T lymphocyte‒associated protein 4)など約10種類が知られています。
がん細胞や周りの免疫細胞はPD-L1やPD-L2(PD-1の受容体)を自ら表面に出して、PD-1を細胞表面に出している、がんを攻撃する活性化T細胞に結合し、その働きを抑制して、免疫防御機構から逃れている場合があります。
免疫チェックポイント阻害薬は、抗がん剤のように直接がん細胞を殺すことはありませんが、これらの免疫抑制分子の働きを阻害すること、つまり免疫のブレーキをはずすことで、がんを攻撃するT細胞の力を発揮させる薬です。
一方、免疫のブレーキをはずすために、患者の遺伝的な免疫体質や環境因子によっては、異常な免疫反応(自己免疫性副作用)が起こることがあるのです。