追う抜刀隊隊長と追われる多十郎。でも、対等な立ち回りを
寺島さんが溝口役を演じる上で提案したことの一つは、多十郎と相対するシーンでの自身の装いについてでした。陣笠をかぶっている溝口に対し、多十郎は「刀は持っているけども、ほとんど丸腰なんですよ。着物もはだけてるし」。そんな多十郎を前に、「完ぺきに身を固めている自分が抜刀隊の隊長として恥ずかしいんじゃないかと思って。対等な立場で立ち回りをやりたかった」。そして、陣笠だけは「脱がせてくれ、脱ぐ芝居をさせてくれと言って、やらせてもらいました」。
そうして向き合った多十郎を演じる高良さんは、「とっても哀愁がある好青年」だと寺島さん。また、柔軟性もあるといい、「リハーサルで立ち回りがちょっと合わないところとかもあったんですけども、ディスカッションを前向きにしながら、技術だけじゃなくて、気持ちというか心というか……。そういう、ちゃんばらというのは、愛がないと斬れないということを共有できたと思います」。完成した作品をまだ観ることができていないという寺島さんですが、「いい感じになっているんじゃないかと思います」と本作への自信をのぞかせました。
高校卒業後、三船プロの俳優養成所である三船芸術学院の授業で殺陣に出会って面白いと思い、講師だった宇仁さんに弟子入りした。