セカンドオピニオンを生かすためのケーススタディー
ケース(1)
インスリン治療について「他の医師の意見を聞きたい」といったら主治医が不機嫌に
糖尿病で総合病院の内科にかかっているAさん(55歳)は、血糖値のコントロールがなかなかうまくいかず、インスリン治療を始めることを提案されています。
しかし、一度始めたらやめられないのではないかとの不安もあり、「もう少し食事療法と運動療法でがんばってみたい。あるいは飲み薬での治療という手段もあるのでは?」とあれこれ考え、踏み出せずにいます。
先日の診察時に、「不安なので他の専門医の意見も聞いてみたい」と伝えると、主治医が急に不機嫌な表情になり、少し険悪な雰囲気になってしまいました。
【患者の心得】
信頼と理解の気持ちを込めた“枕詞”を添えて伝える医師の中でも特に内科医は、がん以外の病気でセカンドオピニオンを求められることに慣れていません。そのため唐突に要求されると驚き、「信用されていない」と負の感情を抱いてしまうことがあります。
そのリスクを少しでも回避するには、「先生の説明は理解しました。ただ、いざ始めるとなると気持ちに踏ん切りがつきません。他のお医者さんの意見も参考にしながら、今後も先生のもとで治療していきたいのです」などと丁寧な“枕詞”を添えて伝える方法が有効です。
患者さんから信頼と理解を言葉で直接伝えられると、医師は滅多なことでへそを曲げたりしないものです。
ケース(2)
診断がつかず症状も改善せず。活路を見出す目的のセカンドオピニオンはありか
Bさん(49歳)は、半年ほど前から背中から脇腹にかけての鈍い痛みに悩まされています。かかりつけ医から紹介された総合病院の整形外科を受診しましたが、血液検査でもレントゲンでも異常は見つかりません。
何か月たっても診断がつかず、治療方針も定まらず、症状も改善しない状況に、Bさんは大きな不安を感じています。
他の医師の意見を聞きたいのですが、病院を替えるつもりはなく、このような“よくわからない状況”に関してセカンドオピニオンをとることを担当医に提案してもいいものかどうか迷っています。
【患者の心得】
医師にとってはむしろ“渡りに船”。有意義な結果も期待できる突破口の見つからないケースで正規のセカンドオピニオンを持ちかけられた場合、医師は“渡りに船”とむしろ歓迎する傾向があります。
診断や治療法に関して新たな意見が提案され、解決の糸口が見つかることも期待できるからです。
セカンドオピニオンは自由診療なので、通常の診療よりも時間をかけて医師と向き合うことができます。
受け身で説明を聞くだけでなく、「思うように改善しない私の現状は、先生のお立場からどのようにとらえられるでしょうか」などと質問すると少しは不安を払拭できる可能性もあり、非常に有意義な活用法だといえます。
ケース(3)
セカンドドクターに乗り換えた
セカンドドクターの人間性が素晴らしく、Cさん(52歳)は主治医としてみてほしいとの願いを捨てきれずにいます。
【患者の心得】
一度は戻って主治医に上手に話すまず、セカンドドクターに主治医になってもらうことが可能かを確かめる必要があります。
その後、一度は今の主治医に戻り、最低限の報告と挨拶をしてから移れば、礼を欠くことにはなりません。
たとえば「通院が不便で通いきれないので」など相手を傷つけない穏便な理由で、やむなく転院したい旨を伝えるのも1つの方法です。