この上なくドラマティックな輝きに魅了される
吸い込まれそうな程美しい石のクオリティはもちろん、サイドのダイヤモンドがオーバルカットのルビーを引き立てる華やいだデザインも魅力。非常に価値ある、正統派の輝きといえます。 リング(Pt×YG×ルビー6.34ct×ダイヤモンド)7億9660万円(参考価格)/ハリー・ウィンストン ●お問い合わせ/ハリー・ウィンストン クライアントインフォメーション TEL:0120-346-376ビルマ産、非加熱、6カラット超という奇跡の石
解説/山口 遼(宝石史研究家)
今月の「ハリー・ウィンストン」のジュエリーは、久々にああ堂々、これぞ宝石といいたくなるルビーの指輪です。このルビーは、専門用語でいえばビルマ産、非加熱、6カラット超え。
業界人なら、「え、そんなもの今どきあるの?」というほどのものなのですよ。ルビーは、ビルマ、タイ、最近ではアフリカなどでも採れますが、断トツで美しいのはビルマ産のものです。
また、非加熱というのは、文字どおり加熱してないということ。ルビーを数100度の温度で加熱すると、色がぐっとよくなるため、今、世の中で売られているルビーのほとんどは加熱処理されたものだといっていいでしょう。さらにルビーは、大きなものはほぼ産出されません。6カラットというのは他の宝石ならいくらでもありますが、ルビーにおいては非常に少ないのです。
ルビーについては、不思議な話が業界にはあります。この指輪のように、現在ではほとんど採れないはずのもの凄いルビーが、年に1、2個ですが、突然、世界のオークション市場に登場するのです。
どう見ても最近採れたルビーではない。おそらく昔、ビルマにあった王国の誰かが、国が滅びる時に密かに持ち出したもので、生活のために売られたのではないか―という噂がいつも囁かれてきたのです。
この石がそうした謎のルビーなのかどうかは私にもわかりません。ですが、そんな想像をあれこれしたくなるほどの見事なルビーです。ハリー・ウィンストンの実力を感じる傑作ですね。
撮影/栗本 光
「家庭画報」2019年5月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。