全身黒でも重すぎないパリジェンヌの着こなし術
おしゃれスポット、有名百貨店「ボン・マルシェ」近くのウエディングドレスのブティックで働いているというアンジェリーナさん。好きなブランドは「プロエンザスクーラー」というモード派。連載「パリ、おしゃれの見本帳」02日本でもすっかり浸透している「シック(chic)」という言葉は、フランス人がおしゃれを語るときに欠かせないキーワード。辞書を引いてみると“しゃれた”“素敵な”“粋な”というような言葉が並びますが、フランス人女性、特にパリの女性たちのスタイルを眺めていると、やっぱりどの和訳よりも「シック」という表現がしっくりくるのです。
そんなパリ・シックを体現していたのが、オールブラックの装いが目を引いたアンジェリーナさん。
女性を素敵に見せる色の魅力をフル活用撮影したのは、まだ朝晩の気温が5℃以下という肌寒い早春の日。道ゆく女性の3人に1人は黒のアウターを着ていたのでは、と思うくらい、黒はパリジェンヌにとってのマストカラーですが、なかでも彼女のクールな着こなしはひときわ目を引きました。
マニッシュなデザインが黒を小粋に「ジョゼフ」のゆったりシルエットのコートにレースアップシューズ、と全体的にボーイッシュにスタイリングすることで、黒の装いをコケティッシュに演出。装いの主軸となるコートは、大きなポケットや細めのラペルなど、シンプルながらさりげなくモード感のあるデザインで、永遠のベーシックカラー・黒の個性を引き立てています。
重さを払拭するひとワザがおしゃれのカギまた参考にしたいのが、素肌がのぞくくるぶし丈のパンツや、アップにしたヘアに映える華奢なゴールドピアスで、フェミニンな軽やかさをプラスするひとワザ。色と素材の重さを軽減するテクニックは、手軽に取り入れられそうです。
さらにグレーの「ゴヤール」のトートバッグで、働く女性のきちんと感と気負わない雰囲気を両立するなど、小物使いも好感度の高さのポイント。
すれ違いざまに思わず視線を奪われた、ミステリアスな雰囲気が魅力のアンジェリーナさんの黒スタイルでした。
~MEMO~甘辛ミックスで黒のシックな魅力が引き立つ!
次回は、おしゃれなスタイルで世界を旅する素敵なご夫婦のコーディネートをウォッチング! 4月23日配信予定。
写真/Olivier Leroy
ルロワ 河島 裕子 / Hiroko Kawashima Leroy
プロフィール
ファッションライター。『家庭画報』をはじめ大人の女性に向けた雑誌で、ファッションやジュエリー、時計を中心に幅広く執筆。2018年より、家族とともに、拠点をフランス北部の田舎に移す。夢はワインの聖地・ブルゴーニュでB&Bを営むこと。行き当たりばったりのフランス移住エッセイ「
意外となんとかなる!? 40代のフランス移住」を同サイトで連載中。