カラートーンを揃えた上級カップルコーディネート
ようやく手がかからなくなったという3人の娘をニュージーランドに残し、2人で1か月近くかけてヨーロッパ&アジアを旅しているという、自由なマインドも格好いいヘイリーさん(右)&ヘイデンさん(左)ご夫婦。仲睦まじさが、ファッションからも伝わるよう。連載「パリ、大人のおしゃれの見本帳」03フランスに移り住んでからというもの、しばしばカップルのおしゃれについて考えることがあります。
これまでファッションというのは、一個人で完結するような気がしていたのですが、フランスでは互いのスタイルが実にバランスよく調和しているカップルを目にします。
2人の空気が揃うとお洒落はさらに際立つそれまで夫の装いなど微塵も気にしたことがなく、つい自分の好きなもので固めがちだった独りよがりの自らのファッションを顧みて、改めて大人のおしゃれについて考察する今日この頃……。
そんなこともあり、パリの街でこの2人を見た時には、つい走り寄って声をかけてしまいました。実はこちら、世界旅行中だというニュージーランド人のご夫婦。
色のトーンや雰囲気もばっちりマッチしている2人のコーディネートは、さりげなくて素敵です。
シンプルカジュアルに大人の余裕を感じて「旅行中だからカジュアルだし、特別な服なんて着ていないの」と言いながらも、上質感のある2人のシンプルコーディネートは、モードの街、パリでも目を引いていました。
しかも妻のヘイリーさんは手ぶら。バッグやジュエリーなどの小物がなくとも、ニットやコートのラグジュアリーな質感、ナチュラルカラーでまとめた上品な色のコンビネーションなど、吟味されたアイテムにセンスが薫ります。
またニットはフロントだけをインして、ルーズに着崩すなど、今らしさを感じさせる着こなしに。
寛いだ装いにはスパイスを少々ヘイリーさんのおしゃれが際立っているのは、上質さだけにあらず。カジュアルなムードの中にも、デニムの切りっぱなしの裾やインパクトのあるカラーフレームのサングラスなど、スパイシーなディテールを盛り込むことで、程よく「クセのある」スタイルに仕上げています。
ナチュラルカラーのコートにデニム、そして白いスニーカーと、夫のヘイデンさんとアイテムの個性を揃えることで、互いのコーディネートをマッチさせた、長く連れ添った夫婦ならではの高度なおしゃれ術。
私たち夫婦もいつかこんなレベルに達することができるのだろうか、と2人のスタイルを眺めたのでした。
~MEMO~シンプルスタイルにはインパクト小物で“ひとクセ”プラス
次回は個性派アイテムをエレガントに着こなす、ファッションのプロの着こなしに迫ります。5月7日配信予定。
写真/Olivier Leroy
ルロワ 河島 裕子 / Hiroko Kawashima Leroy
ファッションライター
『家庭画報』をはじめ大人の女性に向けた雑誌で、ファッションやジュエリー、時計を中心に幅広く執筆。2018年より、家族とともに、拠点をフランス北部の田舎に移す。夢はワインの聖地・ブルゴーニュでB&Bを営むこと。行き当たりばったりのフランス移住エッセイ「
意外となんとかなる!? 40代のフランス移住」を同サイトで連載中。