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健康

川嶋朗先生に聞く。がんこな冷えの解消には、体内酵素の働きも重要

2019.05.17

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ちょっと嫌だなと感じる、きつめの運動を続けましょう


私は、冷えを訴えるかたがたに「熱を生む筋肉をつくるには、自分にとって少しだけきついこと、嫌なことをしましょう」と話しています。

たとえばエレベーターやエスカレーターは使わずに階段を利用し、電車やバスでは座らないようにと。揺れる車内で転ばないように立つだけでも筋肉がつき、バランス感覚が養われ、老化防止効果まで得られますから。

昔取った杵柄とばかりに、ジョギングなどの心臓に負担がかかるトレーニングに励むより、暮らしの中で、ちょっと嫌だなと感じるくらいのややきつめの運動のほうが、気軽にいつでも行える“冷え取り習慣”が身につくのではないでしょうか。


家ではなるべくつま先立ちで過ごしてください。洗濯物を干すときも1枚ごとにしゃがめば、これもりっぱなスクワットです。掃除もできればしっかり腰を落として床を雑巾がけするなど、筋肉が多い下半身をよく使うように意識し、毎日こまめに体を動かしましょう。

そのほか、手軽な冷え対策としては指先のマッサージも効果的です。両手の指を交互に組んで軽く握る、これを繰り返すという方法ですが、なぜよいのかといえば、体の末端の指先には静脈と動脈が切り替わるポイントがあり、ここを刺激することで血液の循環が改善し、冷え解消に役立つからです。

人の体は本来寒いと感じれば、呼吸数や心拍数が上がるように体温を上げようとします。でも現代人に冷えや低体温が蔓延しているのは、エアコンなどの普及で、季節の気温の変化に適応する力が弱くなってきたからでしょう。

冷えに悩むかたの多くは、そういう危険な状態に無自覚で、冷たいアイスを好んで食べたりしています。口に入れるものは温かいものを、それが冷え取りの鉄則なのですが。

なお、日本人の2人に1人ががんという時代、冷えはがんの増殖を加速させることをご存じでしょうか。

冷えた体の血流は滞りがちで、酸素が運搬されにくくなります。実は、がんは酸素のない嫌気性の環境で増殖しますから、冷えた環境はとても居心地がいいのです。

がん予防のためにも冷え取りの習慣を続けましょう。血液中をスムーズに循環する酸素ががん細胞に素早く届いて、その増殖を抑えてくれます。
取材・文/宇津木理恵子 撮影/八田政玄

「家庭画報」2019年5月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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