「おいしい福岡」最新案内 第6回(全9回) わざわざ訪ねたい味がある。福岡は今、上質なものを求める外国人観光客が急増し、世界中から注目を集めています。また、“本物を伝えたい”と帰福した料理人が活躍したり、女性が気軽に楽しみやすい名物料理のお店も進化中。最新の美味をご案内します。 前回の記事は
こちらから。
握りずしは手前左からこはだ、車海老、白甘鯛、穴子、玉子。奥左からかすご、とろ、いか、さわら。器は佐賀で作陶する橋本祭由(まちゆ)作。菊鮨(春日市)―瀬口祐介さん
「はるばる訪ねてくるお客さまに、最高においしい瞬間を」
福岡のベッドタウン、春日市の住宅街にあって、食通たちがわざわざ足を延ばし訪れると評判の「菊鮨」。カウンターに立つのは2代目店主の瀬口祐介さんです。
10席のカウンターに立つ、店主の瀬口祐介(せぐち・ゆうすけ)さん
福岡県春日市ですし職人の父の背中を見て育つ。福岡市「寿司 高玉」で10年修業の後、縁あってジョエル・ロブション氏に誘われモナコへ。5つ星のホテル「メトロポール モンテカルロ」で和食やすしの技術指導に携わる。2012年父が営むすし店の2代目店主となる。 「近郊から上質な魚介類が手に入る幸せな環境だからこそ、おいしさの頂点を引き出すための“仕事”をおろそかにしません」。
近郊から届くネタが美しく収められた綾杉のケースは、八女の木工作家・関内 潔作。シャリのお米も然り。契約農家に頼んで一年かけて天日干しをし、毎日水分量を計ってから水加減をし、最高のタイミングで炊き上げるというこだわりようです。
「江戸前ずしの仕事はいかに理にかなっているか。すしを握る環境として苦労したモナコで、身をもって痛感しました。一流の美術品や器を見て感性を磨くことは、福岡での修業先で出会ったお客さまから学ばせていただきました。すべての出会いや経験が今、そしてこれからにつながっていると思っています」。
柔らかく、謙虚に話す瀬口さん。その姿勢、人柄もお客さまの心を惹きつける理由です。
唐津の蒸しあわびとうに(手前)、山口の赤貝と豊前のとり貝。器は中里太亀作。 Information
菊鮨
福岡県春日市春日公園3-51-3
- 要予約。12時の回のみ6000円〜、夜は1万5000円〜。
表示価格はすべて税抜きです。
撮影/本誌・坂本正行 取材協力/九州観光推進機構
※ご紹介した料理の献立は、仕入れの都合で食材や内容が変更になる場合があります。また、別途サービス料等がかかる場合があります。
「家庭画報」2019年5月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。