相手役のレイチェルを演じるのは青野紗穂さん。「無邪気で、感じたままに動いているところが役にピッタリ。舞台でどんなやりとりができるか楽しみです」――物語は、大震災を機に絵が描けなくなった画家の和也と、愛する女性を亡くしたばかりの女優レイチェルが、N.Y.行きの飛行機で隣り合わせになり……というところから始まります。どういう点に、いちばん魅力を感じますか?「“出会いの奇跡”ですね。誰にでもあるような出会いが、意図したわけでもないのにすべていいほうへと転がっていくところが、とても素敵だなと感じています。シンプルで素直で、嫌な気持ちになる要素がどこにもない、清々しい作品。近頃どうも活力が出ないなあというときに観ていただけたら、きっと誰かに会いたくなるような気がします」
――役づくりの一環で、ご自身もN.Y.に行かれたそうですね。機内でロマンスが生まれたなんてことは……?「なかったですね、残念ながら(笑)。ずっと機内上映の映画を観ていました。でも、初めてのN.Y.は本当に楽しかったです。約1週間の滞在中に、ブロードウェイで舞台も4本観て、たくさん刺激をもらいました。やっぱり生で観ると感動が違いますね。想像以上に素晴らしくて、面白くて。タイムズスクエアのあたりなんて、毎日がお祭りみたいな感じだし、いろいろな人種の人がいるからか、僕みたいな旅行者も温かく受け入れてくれる感じがあって、今まで経験したことのない感覚を味わいました」
――写真を撮るのがお好きだとか。N.Y.にもカメラを持って行ったのですか?「はい。実は今回、向こうで撮ってきた写真の中から何枚か選んだものを、劇場のロビーに飾ることになったんです。客席の名前も、ステージを挟んで、ウエストサイドシートとイーストサイドシートにしてあるんですよ。劇場に入った時から、N.Y.の雰囲気を味わっていただけたらなと思っています」