越路吹雪さんを敬愛してやまない。2017年3月には、越路さんの三十七回忌追悼特別公演にゲスト出演し、歌を披露した。写真/岡本隆史――シャンソンやミュージカルナンバーは、どういった曲を歌われるのでしょう?日によって替わる歌もありますが、シャンソンでは、40年くらい前のシャルル・デュモンという人の曲で、岩谷時子さんが作詞なさって越路吹雪さんが歌った「人生は歌だけ」と、皆さんがご存じのナンバーをいくつか。ミュージカルナンバーでは、『ウエスト・サイド物語』の「サムウェア」、『サウンド・オブ・ミュージック』の「すべての山に登れ」、あとは、僕が今の時代に必要だと思っている、空に向かっていくような歌詞の歌。たとえば、「虹の彼方に」や「星に願いを」も歌う予定です。
――ミュージカル映画もお好きだったのですね。世代的に、1950年~60年代に公開されたミュージカル映画をたくさん観てきましたからね。『サウンド・オブ・ミュージック』にしても、『マイ・フェア・レディ』にしても、映画館で観ながら、すっかりその世界に入り込んでしまいました。『ウエスト・サイド物語』の「サムウェア」も、歌っていると当時の記憶……映画の内容はもちろん、それを観ていた自分のことまで甦ってくる曲です。聴いてくださる方も、そうであったら嬉しいですね。それぞれの人生と共鳴する瞬間がたくさんあるような時間になれば、と思います。
――シャンソンやミュージカルナンバーは、フランス語や英語で歌われるのですか? それとも日本語で?全曲、もちろん、日本語で歌います。母国語じゃないと言葉が伝わりにくいと思いますし。フリートークはあまりしないつもりですけれども、それぞれの曲に込められた思いはお話ししようと思っています。たとえば、ミュージカルナンバーですと、どういう作品のどんな場面の歌かお伝えしたほうが、わかりやすいと思いますから。
――演出プランとしては、どういったことをお考えでしょう?どういうことができるか、演出家の小林 香さんに相談しているところです。ショー的な要素はあまりないかもしれませんけれども、日生劇場に合ったものをつくらなくてはとは思っています。今年のはじめからテレビで色々なコンサート番組を観まして、やはり豪華さや夢の時間であることも必要だなと、改めて感じました。越路吹雪さんのようにイヴ・サンローランのドレスを着たりはできませんけれども(笑)、男なりの装いをして、できるだけのことをして、良いコンサートにできたらと思います。