ソロコンサート『世界のうた』を開催。坂東玉三郎さんが語る歌への思い

昨年は、元宝塚歌劇団のトップスターらとスペシャルコンサート『越路吹雪を歌う―愛の讃歌』を東京・NHKホールなど、全国11会場で開催している。写真／岡本隆史

――玉三郎さんが矢沢永吉さんの歌を!?

ええ。矢沢さんのアルバム『ゴールドラッシュ』（1978年リリース）なんて、レコードが擦り切れるほど聴きましたから。「ゴールドラッシュ」「長い旅」「時間よ止まれ」……素晴らしい曲が収録されているんですよ。ただ、僕が歌ってもあまり似合わないので、まだ矢沢さんの歌は披露できませんね(笑)。自分なりに消化しなくては。


――初めてコンサートを開かれたのは2011年の6月。東日本大震災のチャリティコンサートでした。歌の力をどのように感じていらっしゃいますか。

僕自身、歌を聴いて“明日もなんとかやっていこう”と思ったこと、歌に救われたことが何度もありました。そういう意味では、歌の力を身をもって知っていると思いますし、それでチャリティコンサートもやらせてもらいました。ただ、そんな歌の力を、聴いてくださる皆さんに届けられるかどうかは僕にはわかりませんし、「届けたい」と言ってしまうと、道が一方通行で細くなってしまう気がします。ですので、お客さまには、歌を通して劇場で時間を忘れていただければと思っています。そのひとときをお客さまが楽しんでくださり、何かしら感じてくださったとしたら、僕にも歌う意味があるんじゃないかなと思います。