姿形のない“死”をどう演じて、自分のトートを作っていけるか
これまでルドルフとして、様々な役者が演じるトートと向き合ってきた古川さん。なかでもマテ・カマラスさんのトートは印象に残っているそうです。「マテさんは野獣みたいなトートで。普通に笑うんです。それがマテさんが笑っているのか、トートが笑っているのか、わからなくなって、見ている僕はゾクッとして。予測不能な野獣トートは面白いなと思いました」。では、まだ稽古前ではありますが、古川さん自身はどんなトートにしたいと思っているのでしょう(※取材は4月上旬)。
「現段階では、観終わったときに、 “死ってなんだろう”みたいな問いかけができるトートでいたいなと考えています。“死”って、人によっても国や文化によっても考え方が違いますし、『エリザベート』の登場人物それぞれでもたぶん違うでしょうし……。一人の人でも、状況とか気持ちによっても違うものに見えると思うんですよね。“死”(の概念)はそこにいる誰かが生み出しているもので、変化する形のないもの。それをそのまま表現できたら。そうするには、どんなふうに演じればいいんだろうって、今は思っているところで。小池(修一郎)先生の中にもあると思うんです、トートというものが。それをどれだけ参考にしながら、自分のトートを作っていけるかが鍵ですね」
「トートの存在をルドルフが生み出しているのなら、ルドルフの気持ちがわかっているので、膨らませられるところもあると思います」