はんなり「京好み」(写真左)
はんなりした京風という、イメージは、「優しそうな、優雅な着こなし……」でしょうか。暖色を上手に使い、ゆったりとした着付けで、大きめのお太鼓結びに。帯揚げの白地に赤の飛び絞りが、前の脇に一つ、または、通りすがりのお太鼓の脇にちらりと一つ。そのわずかな一色で、優雅さを薫らせます。
粋な「江戸好み」(写真右)
江戸趣味の着こなしは、寒色系。「八十八茶に百鼠」と言われ、茶色には88通り、鼠色は100通りあったという、江戸の富める商人たちのこだわりです。奢侈禁止令で派手な絞りや紅色などが禁じられると、庶民は地味に見える色を、人気の歌舞伎役者や風月山水になぞらえて楽しみました。江戸風には、細めの衿合わせ、大胆な柄や判じ物を着こなして。
『きものSalon』2019春夏号掲載。この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
撮影/伏見早織 久保田彩子(ともに本誌・静物) 着付け/伊藤和子 高橋惠子 構成・文・きものコーディネート/相澤慶子