紫陽花に出逢う旅 第4回(全5回) 紫陽花は、じめじめした梅雨の風景に清涼感を与えてくれる花。さまざまな色の、丸くふっくりした花の連なりは春から夏へと向かう時期の日本の風物詩です。北海道から九州まで、さまざまな景色の中で楽しむことができる紫陽花を訪ねました。
前回の記事はこちら>> 紫陽花をめぐる言葉
紫陽花をもっと深く味わうための、紫陽花にまつわるトピックスを
静岡県にある下田公園で撮影した写真とともにご紹介します。
花言葉
さまざまな色があり、咲いている間にも色が変わる紫陽花には、「移り気」などといった花言葉が与えられていますが、小花が集まる姿から「家族団欒」というイメージも広まり、母の日のプレゼントとして贈られたり、結婚式の装花として使われたりすることも多くなりました。
国によっても異なり、イギリスでは「自慢家」、フランスでは「元気な女性」や「辛抱強い愛情」といった意味も。
色
紫陽花の色の変化については、実はまだ研究中で、詳しく判明していないそう。
青から青紫や赤に変わるものはよく見かけますが白からピンク、そしてグリーンへと大胆に色が変わる品種も。
ブルーや紫のフレッシュな色合いから秋色アジサイと呼ばれる複雑なアンティークカラーに変化する品種も近年、人気を集めています。
歴史
現在私たちの目を楽しませてくれている紫陽花のルーツは、日本のガクアジサイとヤマアジサイ。『万葉集』にも歌われています。
古くから日本で品種改良されてきましたが、江戸時代にはヨーロッパに伝わり、さまざまな品種が作出されました。
セイヨウアジサイは、それが逆輸入され日本に広まりました。シーボルトがオランダ帰国後に刊行した『日本植物誌』にも14種のアジサイ属植物が記載されています。
品種
ガクアジサイ紫陽花の花弁に見える部分がすべて萼(がく)であることは、よく知られています。
小さな粒々の正常花の周囲を萼が囲んでいるガクアジサイ(上)やヤマアジサイから発展し、現在では約850種もの品種があるそう。
下は江戸時代から愛好されてきたウズアジサイで、実は病気(ウィルス)にかかった花を園芸種として固定したとか。
周囲がくるりとカールした姿が愛らしく、色合いもシック。江戸時代からあるとは思えないほど、モダンな姿形です。
ウズアジサイ 撮影/八田政玄 構成・文/安藤菜穂子 取材協力/大田花き花の生活研究所
「家庭画報」2019年6月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。