シンプルフレンチで初夏のおもてなし第2回(全3回)木々の緑が日増しに鮮やかに目に映る初夏は、おもてなしに適した季節でもあります。フランスを中心に出張料理人として活躍し、数々のおもてなし料理を作ってきた狐野扶実子さんに、おもてなし料理の考え方、コースの組み立て方、初夏におすすめのコースのレシピを習います。今回は肉料理をご紹介。
前回(「前菜」)のレシピはこちら>> 「メインには繊細な風味の和牛フィレ肉。きれいにローストして、季節の野菜をたっぷりと添えます」
肉の表面を指で押してみて、跳ね返るような弾力があれば中まで火が通っている証拠。牛フィレ肉は脂が少ないため、焼きすぎるとパサパサになってしまうので注意する。前菜に続くメインには、肉料理を選びました。牛肉はフランスでも特別感のある食材として、おもてなし料理によく使われます。
牛フィレ肉は、その繊細な肉質を生かすために、火入れには細心の注意を払います。まずかたまり肉は室温にもどしておくことが大切。
肉が冷たいままの状態で調理を始めると、芯まで火が入りません。表面にしっかりと焼き色をつけてからオーブンに入れてローストし、取り出してさらに余熱で火を入れるのがポイントです。
牛肉を切って現れる断面は、きれいなロゼ色。口に入れると、この上なくなめらかで、溶けてなくなるかのようなシルキーな舌触りに驚きます。
もろみと合わせたタプナード風ソース、にんじんのピュレ、そしてたっぷりの季節野菜の付け合わせとともにいただきます。
パンは年輩のゲストがいるならば、バゲットのほかに柔らかいパンを用意します。また梅雨時はパンが湿気やすくなるので、ゲストと親しい間柄なら、家に来る前に買ってきてもらってもいいかもしれません。
「フランスではホストとゲストの距離が近いことが多く、ゲスト参加型のおもてなしも多いですね」と狐野さんは話します。