——物語は父の70歳の誕生日から動き出しますが、クランクインの数日前に70歳の数年前という設定で誕生日会が開かれたとか。それは皆さんが家族になるために用意された時間だったそうですね。松原:一応、読み合わせは少ししましたよね。
蒼井:ちょっとだけ読み合わせをして。
松原:そしたらね、(竹内さんが)ポロポロ泣き出しちゃうの。
竹内:悲しかったわけじゃないんですよ。今までと違う父がいるっていうことに衝撃を受けたというか。でも、そのときに(中野量太)監督が「そういうときに泣いてしまうのは、どちらかというと妹のほうかな」っていうようなことをおっしゃって。それぞれが感じたことを出し合って擦り合わせていくような、そういう時間でしたね。
——先ほど、松原さんは自然に2人を娘として受け入れたとおっしゃっていましたが、母娘としての距離がぐっと近づいたなと感じる瞬間はありましたか?竹内:お母さんは、お父さんの恋人だったんだなっていうのを感じたとき。
蒼井:うん。
竹内:松原さんが演じるお母さんの姿を見ている中で、ここで私はもう一つの家族を体験しているって思えた瞬間があったんです。
蒼井:お母さんのお父さんを見る眼差しから2人の時間が見えたことによって、家族っていうものが(娘2人を入れた)4人の前に、まず夫婦があるっていうことを感じて、実感がわいてきました。(竹内さんと)まったく同じこと言っただけですけど(笑)。
竹内:優ちゃんのほうがアカデミックな感じだった(笑)。
撮影中に、カレーや玉子サンドを差し入れたという蒼井さん。竹内さんは、それを食べて玉子サンドのおいしさに目覚めたという。