伊藤 蘭さん キャンディーズの解散から41年後のソロ歌手デビュー

伊藤 蘭（いとう らん）
1955年、東京都出身。73年にキャンディーズとして「あなたに夢中」で歌手デビュー。78年にグループを解散。休業期間を経て80年に主演映画『ヒポクラテスたち』で本格的に復帰し、以降は女優として活躍。

「以前にもお誘いはありましたが、気持ちが芝居にいっていたり、子育てをしている時期だったり。そうしたら41年経ってしまって」と笑う伊藤 蘭さん。人気絶大だったアイドルグループ、キャンディーズの解散以降、初めてレコーディングしたアルバム『My Bouquet』で、5月末にソロデビューした。

そろそろ歌をやりませんか？という事務所の提案を「きっと、これがラストチャンス。自信はないけれど、歌ともう一度向き合ってみよう」と受けたのは、昨春。初夏にはアルバム制作が始まり、110もの候補曲から、70年代風歌謡ポップスにボサノヴァ、バラードなど、多彩な11曲が選ばれた。作家陣も、井上陽水さん、阿木燿子さん＆宇崎竜童さん、トータス松本さんといった著名人から若手まで、層が厚い。キャンディーズ時代に詞や曲を書いていた伊藤さんも、3曲の作詞を手がけている。


「忙しかった昔と違って、今回は本当に何もないところから音楽を作っていくことに携われて、それは喜びでしたね。と同時に、随所に込められたたくさんの人の思いを全部背負って歌う重みも、改めて感じました。でもお陰さまで、バラエティに富んだアルバムができました。60代になったからといって、落ち着きを意識したり、人生を振り返るようなものにはなりませんでした。幅広い年代のかたに、日々のいろいろな場面で聴いていただけたら」

驚くのは、ブランクを感じさせない、その歌声。華やかな“ランちゃん”の可愛らしさはそのままに、素敵に年を重ね、女優としてより豊かで繊細な表現力を身につけた伊藤さんの魅力が味わえる。6月に開かれる、収録曲を歌うコンサートも楽しみだ。

「人生初のソロ公演。どうなるのか自分にもまだわからないので（笑）、一緒につくり上げるような気持ちで来ていただけたら嬉しいです。年とともに、身も心も重くなってしまいがち。今後も何かをやりませんか？といわれたときに、やります！といえるように、心身ともに軽やかでいたいですね」

伊藤 蘭 ソロデビュー・アルバム『 My Bouquet』
ソニー・ミュージックダイレクト
MHCL 30600