写真が趣味。菅田将暉さんと親交が深く、7月10日にリリースされる菅田さんの2ndアルバム『LOVE』のジャケット写真とアーティスト写真の撮影を手がけている。――太賀さんが演劇に興味を持つようになったきっかけも、岩松作品だったそうですね。「はい。僕はもともと映画が大好きで、映画俳優になりたかったんですね。でも、岩松さんの『シダの群れ』(2010年)を観たときに、自分の中の演劇の扉が開いたというか、こんなに面白い世界があるんだ!と思って。それが僕の演劇の始まりなので、こういう言い方が正しいかどうかわからないんですけど、岩松さんのことは“演劇においての父”だと思っています」
――どういうところに魅了されたのでしょう?「『シダの群れ』で観た阿部サダヲさんが圧倒的な存在感で、その一言や一挙手一投足に、観る側はハラハラしたり、ショックを受けたり、感動したり……舞台に立つ役者のカッコよさをすごく感じました。もう一つ感動したのが、演劇の自由さです。映画やドラマは、たとえば海のシーンは海でロケをしたり、教室の話なら教室で撮ることができますけど、演劇は場所が限られていますよね。でも、その不自由さが逆に自由を与えているというか、観る側の想像力を使うことで、こんなにも自由に表現ができるんだなと」
――出演者としては、岩松作品の魅力をどんなふうに感じていますか?「岩松さんの作品世界を形づくっている台詞の美しさは圧倒的で、そんな台詞や岩松さんが描いた人間に血肉を与えられることに、まず大きな喜びを感じます。これはもう出演できる役者の特権じゃないですかね。岩松さんが書く台詞は、日常会話としては演劇的だったり詩的過ぎるところもあったりするんですが、それを成立させる岩松さんの演出力も魅力の一つだと思います」
――今回の『二度目の夏』は嫉妬が渦巻く恋愛劇。太賀さんは、裕福な家庭で生まれ育った主人公の親友役。主人公夫妻が夏の間過ごす別荘に一緒に滞在するうちに、主人公の美しい妻と噂になり……という物語だとか?「稽古が待ち遠しいです。僕は岩松さんが書く男女の愛憎劇は最高だと思っているんですが、今回はその愛憎の渦中にいられるみたいなので。どんなふうに演劇として立ちあがっていくのかも楽しみですし、岩松さんが書く独特の色っぽさと魅力を持った女性に僕も振り回されるのかなとか、僕自身はどういうふうに主人公に影響を与えられるのかなとか、いろいろ想像しています。今まで岩松さんの作品でやったことのない役になるような気がします」