「つくった人の顔が見えるような作品が好き」と太賀さん。出演作を決める際も、そこが一つのポイントだという。――主人公を演じる東出昌大さんとは、7年ぶりの共演になるそうですね。「初めてご一緒した映画『桐島、部活やめるってよ』(2012年)以来です。東出さんはそれが俳優デビュー作だったんですけど、その作品の中では最年長で、共演者みんなのお兄さんというか、初めてなのにすべてを受け止めていた姿がすごく印象的でした。その器の大きさは、たぶんもともと東出さんが持っている魅力の一つで、たくさんの役者や監督に愛されるゆえんはそこにあるのかなと思います。ほかの作品を観てもそれを感じますし、どこか覚悟を決めているような姿がとても素敵で。なので、久々の共演は楽しみ以外の何ものでもありません。自分が成長した姿とか、自分が見てきたこと、感じてきたことをぶつけていきたいです」
――東出さんと岩松さんとの初タッグを、太賀さんはどう見ていますか?「親和性があるんじゃないかなと感じています。東出さんが持っている匂いは、自分と似ているような気がしますし。そういえば、“基本的に明るくて、楽しいことが好きで、でも実は根が真面目みたいなところが、お互いあるよね”と東出さんにも言われました(笑)。僕は東出さんのことを、仕事だけではなく、自分の趣味や好奇心に対してもちゃんと時間と労力を使って、広い意味で人生を謳歌している達人だと思っているんですね。僕の知らないことも本当にたくさん知っていますし、この機会にいろいろなことを教えてもらえたらいいなと思っています」
――ご自身にとって、演劇、舞台はどういう場所ですか?「自分がやる芝居自体は、映像作品とそんなに違いはないと思うんですが、役者の一言で場が凍りつくこともあれば、会場が大爆笑に包まれることもあるという点では、やっぱり特殊な空間ですよね。しかも形に残せる映像と違って、誰かの記憶の中にしか残らない。なので、観る人の記憶に何かしら残るもの、“あの芝居、素晴らしかったね”と言ってもらえるようなものにしたいなという気持ちで臨んではいます。今回も、自分たちが『二度目の夏』をやったという証を何かしら刻みたいですね」