麗禾さんにとって、叔母であると同時に踊りの師匠でもあるぼたんさんとともにQ 舞踊家としての道に一歩踏み出そうとする今の麗禾さんに、ぼたんさんの経験から助けになると思われることはありますか?ぼたん:私が麗ちゃん(麗禾さんの愛称)の年くらいのときとは環境が違うと思います。私が小学生の頃に「この演目を踊ってみたい」と父に言ったことがあるのですが、そのとき父からは「自分の身の程もわきまえず、何を言っているのだ」と厳しく怒られました。今は「やりたい」ことに取り組める寛容な時代になりましたので。
歌舞伎の家は、一般的な家庭と比べると独特なところがあります。女の子に生まれ、思うこと、感じることは、今後いっぱい出てくると思います。そういう現実に彼女が直面したときには、で「これがこうだよ」というよりも、そのときの気持ちに寄り添ってあげたいと思っています。
Q 三代襲名披露の「市川會」をどのような舞台にしたいとお考えですか?ぼたん:私の同世代でも、日本舞踊がどのようなものかご存じない方がいらっしゃいます。また、舞踊会は、歌舞伎と比べると上演期間は短く、基本的には一日公演が多いので、たとえ興味を持っているかたでもご覧いただくのは難しいのが現状です。
今回は比較的長期の公演になりますので、多くの方に劇場に足をお運びいただき、日本舞踊をお楽しみいただけたら嬉しく思います。
三代目市川ぼたん 堀越麗禾
三代目市川ぼたん
日本舞踊家。父は歌舞伎俳優の十二世市川團十郎、兄は十一代目市川海老蔵。六世藤間勘十郎に師事し、1996年から藤間藤太郎に師事。2006年、日本舞踊市川流の三代目市川ぼたんを襲名。以来、国立劇場主催公演をはじめとした舞台に出演。振付や教育活動にも積極的に取り組んでいる。2018年舞踊批評家協会新人賞を受賞。
堀越麗禾
2011年東京生まれ。父は歌舞伎俳優の十一代目市川海老蔵。2014年3月、八千代座で行われた「古典への誘(いざな)い」の『芝居前三升麗賑(しばいまえみますのにぎわい)』で初御目見得。2018年1月新橋演舞場『日本むかし話』、2019年新橋演舞場『牡丹花十一代(なとりぐさはなのじゅういちだい)』に出演。そのほかNHK Eテレ「えいごであそぼ」に出演中。
市川會 三代襲名披露
市川紅梅改め 初代市川壽紅
市川ぼたん改め 四代目市川翠扇
堀越麗禾改め 四代目市川ぼたん
撮影/本誌・坂本正行 取材・文/山下シオン
表示価格は税込みです。