——アキオの先輩・吉井(佐藤隆太)の「父親とはいえ、他人だからわからないこともある」という言葉が印象的でした。自身の家族を振り返って、そういうふうに思うことってありますか?坂口:僕は、根本的に自分ではない人はわからないものだと思っていて。父親ともすごく仲はいいですし、血の繋がりがない……例えば友達とかよりもわかり合える瞬間はあると思います。でも、絶対的にどんなに仲がよくて、どんなに相手のことをわかっていても、どこかからは絶対にわからない部分があって、それはけっこう大きな部分だと思うんですよね。
吉田:僕も父とは仲がよかったんですよ。ゲームを通じて関係を修復するまでもなく(笑)。一緒によく飲みにいったりもしましたし、旅行もしましたし。ただ、母親とは仲が悪くて。ずっとコミュニケーションが取れなくて、4年前に突然死んだので、それがちょっと残念ですね。できることなら母親とこれ(アキオと暁のようなこと)がやりたかったなっていう気がしますね。どうやっても母親と話ができないんですよ。
坂口:なんでですか?
吉田:ケンカになるんです。
坂口:そうなんですか。
吉田:1時間しゃべってるともうケンカになるんですよ。しょうがないよね。僕、長男で、母親がものすごく過保護で。それで僕が反発して、ってよくあるケースなんですけどね。それが大人になってもずっと消えなくて。40歳すぎてるのに、お風呂から出たら「風邪引くから早くふきなさい」「早くパンツはきなさい」って言うんだよ? そんなの言わないだろう。
坂口:言わないですか? ……言わないか。
吉田:言う人がいても、それがすっごいいやなのよ。気持ち悪いの。生理的にいやだった。そんな関係だったので、今は後悔してますけど、もっといろいろ話してわかり合えばよかったなって思ってますよ、とっても。でも、もうできないから、このストーリーは身につまされる。母親が生きていても、同じことはしないだろうけど(笑)。何かそれに近いこと、そういう方法をとって関係修復すればよかったなって、ちょっとこの映画を観て思いました。
「人間の役者のパートはリアルな世界。なるべくリアルにリアルに日常的に日常的にやらなきゃいけないと思って演じていました」