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佐渡充洋先生に教わる、慢性痛や不安、イライラを鎮める成熟世代のマインドフルネス

2019.07.08

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本来の痛みは残っても痛みの感じ方が変わる


一方、思考が未来に飛ぶと不安が生じ、そこで思考の反芻が起こると不安障害に陥る場合があります。 うつ病の再発予防と同じようにマインドフルネス認知療法で思考の反芻を止められると不安が軽減し、自分が置かれた状況に冷静に対応できるようになります。

佐渡先生たちの研究ではマインドフルネス認知療法の8週間プログラムを受けた人は不安症状が正常域まで改善しました(図下)。

不安に対するマインドフルネスの効果
マインドフルネスは、不安症状を正常域まで改善させる



不安に対するマインドフルネスの効果

パニック障害、社交不安障害のいずれかの診断基準を満たす40名を、通常治療に加えてマインドフルネスを毎週2時間全8回行うA群と通常治療のみを行うB群に分け、8週間後の不安症状のスコアを比較すると、A群のほうが有意に改善し正常域の数値になった。(参考資料/二宮 朗、佐渡充洋ほか 第112回日本精神神経学会学術総会2016)

さらに痛みにも効果があります。マインドフルネス認知療法により、もともとある一次的苦痛を受け入れられるようになると一次的苦痛を嫌悪することで起こる二次的苦痛が減ってきて、一次的苦痛は残っても全体の苦痛は楽になります(図下)。

苦痛に対するマインドフルネスの作用


苦痛に対するマインドフルネスの作用

人間が主観的に感じる苦痛には、もともと心身にある「一次的苦痛」と、一次的苦痛を嫌悪することで起こる「二次的苦痛」がある。マインドフルネスにより一次的苦痛を認め、その状態を受け入れられるようになると二次的苦痛が減ってきて、本来の苦痛は残っても全体の苦痛は楽になる。

このように医学的な効果が認められているマインドフルネスを更年期のゆらぎを和らげるセルフケアにぜひご活用ください。

佐渡充洋(さど・みつひろ)先生

佐渡充先生

岡山大学医学部医学科卒業。1999年、慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室入局。2005年、ロンドン大学大学院留学、08年より現職。医学博士。『幸せになりたい女性のためのマインドフルネス』(監訳・創元社)など一般向け書籍づくりにも携わる。

佐渡充洋『幸せになりたい女性のためのマインドフルネス』

著書『幸せになりたい女性のためのマインドフルネス』

撮影/西山 航 スタイリング/程野祐子 取材・文/渡辺千鶴

「家庭画報」2019年7月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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