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人が本来持つ“治る力”をサポートする「漢方外来」とは?〔前編〕

2019.06.28

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複数の症状に一度に対応する漢方は更年期の治療に最適


北里大学東洋医学総合研究所は1972年に日本で最初に設立された漢方医学の総合研究機関です。

以来、今日まで診療と研究を通じてわが国の漢方医学をリードし、86年にはWHO(世界保健機関)の伝統医学協力センターにも指定されています。

診療の核となる漢方鍼灸治療センターには、世界最高レベルとも評される漢方治療を求めて、国内はもとより欧米や東洋医学の本場である中国からも患者が訪れます。


漢方医学とは、中国から伝わった漢方薬や鍼灸による治療が日本独自の形で発展した伝統医学のことです。

人間の身体を自然の一部としてとらえ、“病気ではなく病人を診みる”という基本的姿勢のもと、困っている症状だけでなく、その人の体質や全身状態を含め、総合的な観点から原因を探り、本来その人が持っている“治る力”をサポートしながら治療していくのが最大の特徴です。

そのため、緊急処置や手術を必要とする急性期の病気を除き、オールマイティに対応できるのも漢方医学の優れた点の1つだといわれています。

「複数の症状を一度に治療できるのも漢方ならではの魅力です。心身のさまざまな症状が複雑に入り交じる更年期世代の女性の悩みを解決するには、まさに漢方が適しています」と産婦人科が専門で、同センターで漢方外来の診療に従事する森 瑛子先生はいいます。

同センターの調べによると、2018年の新規受診者のうち最も多かったのは40歳代の女性で、次いで50歳代の女性でした。

「更年期障害の治療では女性ホルモン補充療法と組み合わせることもあります。補充療法では改善しにくい冷え性やイライラ、不安などは漢方薬がよく効きますし、肩こりや五十肩などの痛みには鍼灸を併用すると効果的です。

また、この年代は乳がんや婦人科がんなどにかかるかたも増えてくるので、抗がん剤治療によるしびれなどの副作用の軽減や再発予防に漢方が利用されることも多いです」
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