知っておきたい! 頼りになる専門外来 治療を続けているのによくならない、今の治療効果に満足していない――。このような悩みを抱える人は少なくありません。こんなときに頼りになるのが「専門外来」です。一般外来ではなかなか受けられない個別性の高い治療が期待できます。今回は、「漢方外来」の後編をお送りします。
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森 瑛子(もり・えいこ)先生2008年日本大学医学部卒業。初期臨床研修を経て、10年、日本医科大学武蔵小杉病院女性診療科産科入局。東京臨海病院産婦人科、日本医科大学千葉北総病院女性診療科・産科などで臨床に従事。漢方薬を処方する過程で、漢方医学を本格的に研修したいと考えるようになり、17年北里大学東洋医学総合研究所に入職。産婦人科専門医。漢方ドックで未病を診断し、病気の予防にも努める
漢方外来では、併設の鍼灸外来とも緊密に連携を取りながら診療にあたっています。
「漢方薬だけでは治りにくい冷え、こりや痛みには鍼灸を組み合わせることが多いです」と森先生は説明します。鍼灸治療は、経絡(けいらく)(気や血を身体に巡らせるルートで鍼灸の刺激も伝える)の病的状態を脈診で診断し、必要な経穴(けいけつ)(ツボ)に鍼を打って経絡を調整し身体のバランスを整える「本治法」と、症状に応じた対症療法的な「標治法」を併用して行われます。
漢方医学を本格的に学びたい医師が集まり、研鑚を重ねる。日本東洋医学会の指導医資格を持つ医師も多い。漢方薬だけでは治りにくい症状には鍼灸を組み合わせて快癒を目指す
「必要に応じてお灸も使います。鍼灸治療を希望される患者さんも多いです」。
更年期になると、病院に行くほどではないけれど調子が悪い、検査では異常がないのに原因不明の不調が続くということも増えてきます。
こんな場合におすすめなのが「漢方ドック」です。このドックでは未病(まだ病気になっていないが、放置すると病気になる可能性がある)の状態かどうかを診断し、生活習慣の見直しをアドバイスしたり、つらい症状に対して漢方薬や鍼灸による治療を行ったりしながら病気の予防を目指します。
「症状が出始めのほうが漢方はよく効きます。小さなトラブルでも解決し、更年期をなるべく快適に過ごしていただくお手伝いをしたいと思っています。気軽に相談できるかかりつけ医のようにご利用ください」と森先生は話しています。
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北里大学東洋医学総合研究所
東京都港区白金5‐9‐1
取材・文/渡辺千鶴 撮影/八田政玄
「家庭画報」2019年7月号掲載。この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。