ビジュアルセンスだけにあらず。芯に脈々と流れるものとは……
『~筋肉体操』への出演は、自身の著書『優雅な肉体が最高の復讐である。』がきっかけになったのではないかという武田さん。その自著につながったのが2012年に出した写真集『月刊MEN 武田真治』で、手がけたのは写真家であり、本作の監督でもある蜷川実花さんです。「実花さんから始まったところがあるので、(今作で)実花さんにお返しできたっていう感じですね」と武田さん。さらに、武田さんは1995年に舞台『身毒丸』に主演していますが、同作の演出は蜷川実花さんの父・蜷川幸雄さんです。
「実花さんは、違う方向に進まれたのかなと思っていたんですよ。ビジュアル重視の演出家というか。でも、これまでの作品でもそうだったように、たぶんこの映画でも語られるであろうビジュアルセンスも、作品の一つの個性にすぎなくて。芯には“生きる”とか“人間”を描こうというところがあって、メッセージ性のある作り手として脈々と流れる蜷川の血みたいなものがすごく感じられたんですよね。僕は『身毒丸』に出させていただいて、それ以降脱落した身ですから、この映画に出られることがうれしかったですし、蜷川幸雄先生にその後の自分をご報告できると思いました」
「日本映画の新しい基準になりそうな作品に参加できて、落第者で終わらなかったっていうことを自分でも褒めてあげたいと思います」