委員の選定方法や選ばれた人へのサポートに課題
医療政策や医学研究のさまざまなテーマや段階に患者・市民が参画するようになっていますが、一方で課題もあります。
1つは、市民や患者の委員を選ぶ基準が明確でなく、誰がその役目を引き受けるべきかがあいまいという点です。
「多くの場合、委員会等の事務局が検索したり、人からの紹介を受けたりして委員を依頼することがほとんどでは」と武藤さんは話します。
「国立がん研究センター がん対策情報センター」では、提供する情報を検討するために市民パネルを組織しており、ここでは08年の発足以来、応募要領を公開し、委員を公募しています。将来的にはこのような形が望ましいでしょう」。
また、選ばれた委員へのサポート体制もまだ整備されていません。
場によって多少は異なりますが、このような委員になると医療制度や医学研究などに関する多くの書類を読んだうえで意見を述べることが必要で、守秘義務も求められます。
「英国の研究倫理審査委員会には事務局に一般委員のサポートのための担当者が配置されています」と武藤さん。
日本では、研究資金を配分する組織の1つである日本医療研究開発機構(AMED)が17年から研究倫理審査委員会の事務担当者に研修・認定を始めており、患者・市民委員へのサポートが進むことが期待されます。