猛暑に打ち勝つエイジングケア 第5回(全6回) 昨年以上の猛暑が予想される今夏。紫外線ダメージや、冷房による体への負担も年々厳しさを増しています。これまでとは違う環境の変化を正しく理解し、賢く夏とつきあう、家庭画報本誌連載でおなじみのビューティアンバサダーたちの取材とともに、猛暑に負けず、美しく過ごすための方法をお届けします。
前回の記事はこちら>> 温めるだけでなく、体を巡らせこもった熱を出しましょう
今回は、東京女子医科大学 東洋医学研究所 木村容子先生に、更年期世代の冷えについて教えたいただきました。
東京女子医科大学 東洋医学研究所
木村容子先生
東京女子医科大学准教授。東洋医学研究所副所長。お茶の水女子大学を卒業後、中央官庁に入省。英国オックスフォード大学大学院に留学中に漢方に出合う。帰国後、東海大学医学部に入学。2002年より現研究所に勤務。夏の体は意外に滞りやすく寒熱のアンバランスが起こる
「猛暑の夏ほど冷えが起こりやすい」と木村容子先生は指摘します。冷房を28度に設定しても、猛暑下では屋内外の温度差が5度以上に。
「その開きが大きいことが問題です。外では汗をかいて体温の上昇を防いでいたのに、屋内に入った途端に毛穴を閉じて発汗を止める。それを繰り返しているうちに体が混乱し、自律神経の働きが乱れてしまうのです」。
更年期世代は自律神経が乱れやすいベースがあるだけに、猛暑の夏は特に注意が必要なのです。
「体の表面は冷たいのに内側に熱がこもっている、あるいは手足は冷たいのに顔がほてる、といった“寒熱のアンバランス”が起こります」。
さらに、冷たいものを口にする食生活が冷えを助長します。
「胃腸が冷えて、消化吸収や水分代謝の機能が低下します。なかなか自覚しにくいのですが、だるさ、むくみ、夏太りなどはそのサイン。放っておくと、秋バテ、ひいては本格的な冬の冷えを招くことになります」。
汗を上手にかくことで巡りのよい体に
「温めることに注力すればいい冬とは違い、夏の冷えは厄介です。水分を補給しながら、体温調節の鍵を握る汗を意識的にかいて、体内にこもった熱を発散させ、巡りをよくします。水分代謝を活用すれば、自律神経を鍛えることにも繫がります」と木村先生。
まずおすすめしたいのが入浴。「湯船に浸かって汗をかくようにします。週に2回は実践しましょう」。
そしてときどき、熱いものを食べることも効果的。「冷房を利かせた部屋の中で温かい麺やスープなどをとると胃腸に元気が戻ります」。
汗をかくことで毛穴に詰まった皮脂や老廃物が排出され、新陳代謝も促されるので、肌のコンディションも上がります。「あとは保湿化粧品で不足しがちな潤いを補いましょう」。